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家族のホメオスタシス(恒常性)

2012年06月29日

昨夜は比較的早めに帰宅できたので、「ストーン(Stone)」(2010,米)という、ロバート・デ・ニーロ主演のサスペンス映画を観ました。サスペンスというほどのものではなく、心理劇というべきかな。
彼の役どころは、刑期を終えようとしている服役者を仮釈放するか否かの判定資料を作る、仮釈放管理官です。一人の服役囚とその妻と管理官との駆け引きが描かれていくわけですが、映画の中身ではなく、観ていて興味をもったのが、伏線として描かれている管理官の家庭でした。
定年間近のデ・ニーロ演じる管理官と妻の二人家族。(この二人には娘が一人いて娘は離婚の危機にある。)二人は若いときから会話がない。妻が夫に飲み物を差し出しても夫は無言。夫はテレビのゴルフ番組に夢中。妻からしばしば出る発言は、「あなたいつも上の空ね…」と。それも静かに…。
目立った争いはほとんどない。倦怠感と空虚感に満ちて、時計の針のように規則正しく動いている家庭。夫婦で教会にも通っている。夫は妻の苦しみが全くわからず、40数年の結婚生活に疑問を感じていない。ただし、その家庭もある一組のカップルに出会うまで…。
人は一般的に変化を恐れるもの。変化の先は予測が付かない。変わるくらいなら、動きのない乾いた生活の方がずっといいのでしょう。映画では最終的に家庭は壊れますが、これは悲劇ではなく再出発のストーリーなのかもしれないなと思いました。
街角

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