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ブログ 心's LOOM

戦争トラウマ

2025年08月29日

8月も間もなく終わろうとしていますね。まだまだ日中の猛暑が続いていますが、夜、虫の音を聴きながら就寝していると、ささやかではあっても秋が確実に来ていることを感じます。

今、通勤時にBBCのPODCASTを聴いているのですが、ウクライナもそうですが、ここのところガザ地区の暗澹たるニュースばかりで心が痛みます。同じ世界のなかで人為的に引き起こされた飢饉によって餓死者が出ていることを思うととても苦しくなります。

夏休みは以前から気になっていた「戦争トラウマ」についての本を読んでいました。

 ルポ戦争トラウマ 日本兵たちの心の傷にいま向き合う(2025)後藤遼太・大久保真紀著 朝日新書

なぜ気になっていたのかというと、臨床ではいつも3世代分のジェノグラム(家族図)をお聴きしているのですが、大体祖父に当たる方々の情報は極端に薄いか、性格・人格的にかなり偏っている人が多いのは何故だろう…という印象を常々抱いていたからでした。

「祖母が祖父を立てていた、亭主関白の昔の夫婦です。普通の夫婦です」という語りは圧倒的に多いのですが、果たして時代のせいだけでこんなに偏っている説明になるのだろうか…という疑問がありました。

私たち心理士は、第一次世界大戦中のシェル(砲弾)ショック、戦争神経症の知見からPTSD(心的外傷後ストレス障害)、今日のCPTSD(複雑性PTSD)の研究へ至るという歴史の一つの流れ(トラウマ研究のもう一つの流れは精神分析に始まるのでしょう)を学びはしますが、日本の心理教育や臨床のなかで戦争トラウマを学んだり直接扱うことはありません。

ですが、戦争トラウマも他のトラウマと同様に世代間連鎖をしていく場合が多く、依存症やDV、虐待などの家庭内の機能不全を引き起こすことを考えると、ようやく日の目を見るようになってきた大切なトピックだと思います。

戦争は被害者にも加害者にも深い心の傷を残します。どちらにも目を向け続け、子どもたちが平和な社会のなかで生き続けられるようにしたいものです。

 

A)前回の答えは、タマムシの羽でした。


夏休みをどう過ごそう…スマホ依存からの脱却を目指して

2025年08月08日

昨日は立秋でした。残暑とは名ばかりで、旱魃や水害と各地が大変なことになっていますね。今年はあまり蚊の被害に遭わないなと思っていたら、蚊は35度以上だと活動が鈍るそうです。雀など市街地の鳥も一部の地域で激減しているとの報道がありました。あまりの酷暑で可哀相なので、私も毎朝庭にやってくる雀たちに僅かながら餌と水をあげています。焼け石に水のような気がしないでもありませんが…

さて、もうすぐ4日間の夏休み。休みが少なくて大丈夫ですか?との優しいお声をいただきますが、9月にまた研修会が入ったらと思うと日程調整の都合上あまり休めないのです。でもこうも暑いと、8月いっぱいはどこかの避暑地で心理療法をやりたいなぁ…とかイマジネーションの世界では自由に羽ばたいています。

で、夏休みをどうしよう…

先日、スマホを家に置き忘れてきたことがあったのですが、やってしまった感と同時に、得も言われぬ解放感と幸福感というアンビバレントな感情を抱いたことがありました。

通勤時間が長いのでスマホで音楽を聴きながら、読書や買い物、ニュースやメールチェックをしたり、帰宅時間はヘロヘロなのでぼ~っと犬猫鳥のインスタを眺めるということをやっていたら、ファンの子たちができ始め、就寝時間前後にまでその時間が延長し、もしや私も依存症かも?という域にまで達してしまいました。以前は読書もアプリでして夜中にまで及んでいたので、これは紙媒体に戻しました。本は寝ながらだと重くて持っていられないものね。

あるITの専門家が言っていた「SNSは時間が溶ける」という言葉。これには心底納得しました。少し眺めただけで時間がずれ込むし時間を失ってしまう。時間の問題だけではありません。どんなにネットリテラシーを高めておいても、真偽不明のコンテンツや文脈から外れた過激な広告などが急に飛び込んできたりと、脳や心がとても疲れてしまっていました。

で、夏休みはスマホとの距離を適度にとってみようと思います。ゼロではなく、一日total15-30分くらいを目安に。
そして一日は洗濯漬け、一日は浴衣を着て犬とかき氷でも食べに出かけ、あとの二日は静かに読書と映画鑑賞でもすることにします。

 

百日紅、暑い時に頑張ってくれているね!

(Q)これ、何だ?


研修を終えて

2025年07月23日

うだるような暑さのなか、大阪での学会研修を終えて帰ってきました。去年も訪れた立命館大学茨木校舎。朝から蝉の声がすごかった。蝸牛の歩みですが土地勘がついてきたので、ホテルは京都にとりました。電車で1時間弱、十分通勤圏内ですね。京都の七月は祇園祭の真っ只中、夜は辻のあちこちに駒形提灯が見られ、御囃子と共に束の間の風情を味わってきました。

立命館大学茨木校舎

山鉾に飾られた駒形提灯

研修内容は摂食障害についてでしたが、自分の身に落としこむまでには復習が必要だと思いました。はぁ~。

研修二日目の夜は大阪の名物を食べようということになり、お好み焼き屋を目指しましたが空席がなく、近江牛屋さん(確か…)で愉快な時間をもつことができました。近江も近いものね。

最終日は京都まで戻り、夕刻の鴨川を眺めて帰ってきました。
御一緒できました方々、今年もまた学びと楽しい時間をどうもありがとうございました。

高瀬川 船が流れてきそう…

鴨川 水の煌めきと雲の壮大さ。なんてきれいなのだろう…


(続7)自分の中核的な価値を認める(自尊心ワークブック§7より)

2025年07月12日

ここ両日は涼しくて気持ちいいですね。夜も快眠、早朝散歩も快適です。選挙も前倒しで済ませました。私は昭和の家族観じゃないところ、ヘイトを煽がないところに入れていますが、同じ家族でも意見や価値観はそれぞれ、正に個人の領域なのでしょう。

さて、シラルディ博士の第7章は、自分の性格特性や重要な特性を見付け、中核的な価値を知る作業になります。性格特性には、1知性、2品性(倫理観、正直さなど)、3創造性、4判断力、5優しさ、6ユーモア、7他者に対する敬意、8自己に対する敬意、9向上心etc.があり、これらが0-10の間でどれくらい発達しているのか、主観で判断して数値化します。そして数値の高いものを鑑みながら、自分の中核的な価値を解釈します。

例えば、私の犬の場合なら、「知性は普通、忠誠も普通、優しさと自他へのフレンドリーさはかなり発達しており、彼女の中核的価値といえる」となりましょうか…。

朝散歩より

 


(続6)「それでもなお」フレーズ(自尊心ワークブック§6より)

2025年06月21日

気付けば6月も終盤を迎えようとしています。
合間を縫って論文を書いていました。それも漸く脱稿し、暫くは寝かせて発酵を待ち、目が新鮮になったところで再度見直し提出しようかと思います。ふぅ~、後は野となれ、山となれ。

ずうっと止まっていた自尊心ワークブックですが、lesson 6は至って簡単。
認知、気分を変えるフレーズの練習でした。

「……だから、……だ」を、「たとえ……だとしても、それでもなお……」に言い換えます。
ex) 「私には魅力がないから、(人が、親が)話を聴いてくれない」⇒「たとえ私に魅力がないとしても、それでもなお、私にはとても価値がある」

最初は嘘くさく感じようとも、認知の仕方をクセづけることが狙いなので、何度も何度も繰り返し上記のフレーズで言い換えるようにします。次第に、こういう考え方があるのだということが身に付いてきます。

 

 


自由連想…

2025年05月15日

5月は爽やかな風薫る季節。どこからともなく芳香が漂ってきて、くたびれた心身を慰めてくれます。この時季によく見られるのが、次の花。御存知でしょうか。ツル性でほとんど雑草のようなのですが、甘ったる過ぎずにいい香りの「スイカズラ(忍冬)、英名ハニーサックル」です。

 

これを見かけるといつも脳裡に過るのが、松谷みよ子著、児童文学『モモちゃんとアカネちゃん』シリーズです。60~90年代のベストセラーなので御存知の方が多いでしょうが、若い人はどうなのでしょう…。幼い姉妹の話でファンタジーの要素、多少民俗学の要素も感じられる児童文学ですが、何より家族物語として大変興味深いものでした。子ども向けにしてはかなりショックな現実味を帯びていて、何度泣いたことか…。

で、このスイカズラは何かというと、「この花の花芯の蜜を吸いながら、願い事をイメージするとそれが叶う」というお話があり、二人の姉妹がこの可愛らしい願掛けをしていたのでした。子どもって、こういうおまじないのようなことしますよね?

私も真似をしてやったような、やらなかったような、遥か遠い微かな記憶ではありますが、この香りが時間を引き戻してくれるのです。


GWの過ごし方

2025年04月27日

今年のGWは飛び飛びですね。それでも羨ましいくらい長期休暇の人もいれば、カレンダー通りの人、休めないサービス業の人など様々なようです。

私は神保町の街が落ち着くこの時季に、セッションの他は読まなきゃいけない文献などに目を通しながら過ごしたいと思います。でもこういうmustの事柄があるときは、ついつい余計なことにも手が伸びてしまいます。

先日は、映画『Wicked ふたりの魔女』という『オズの魔法使い』のスピンオフ作品を観てきました。久々に娯楽作品として楽んだだけでなく、緑の魔女エルファバに感情移入し、幾度か思わず涙が溢れてきてしまいました。エルファバが不貞の子として罪を負っているところは余計だと思いましたが、秋の完結編が今から楽しみです。

ご覧になった方々の感想を聞くと、総じて男性陣は楽しめないようでした。まあエルファバのような気持ちを抱いたことがなければ無理はないのでしょう。

児童文学『オズの魔法使い』は小さい頃読みましたが、この度新たに福音館書店の原画付きのものを購入し、就寝前に少頁ずつだらだら読むという至福の時間を過ごしています。

今年のGWはこれを読み終えるのと、ご近所から頂いた筍の調理(何回目、何本目だろうか…w)に時間を費やしたいと思います。

 

 

 


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