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新たな世界
2012年05月23日
昨夜は何気なくTVをつけたら、「左手のピアニスト 舘野泉」という番組が放映されていました。
脳出血の後遺症で右手で弾くことができなくなり、2年間のブランクを経て、左手だけでメロディーと和音を奏でる奏法を編みだし(親指と人差し指でメロディ-、残りの指で和音だそうです)、新たな境地を今なお開拓している男性ピアニストのお話でした。
右手が使えないということはピアニストにとって致命的なハンディだと普通は思いますが、それが私の先入見ということがよくわかりました。
左手から生まれる曲は…、目を閉じて聞こえてくる曲は、どれも心に深く響いてくるものばかりでした。もっとも、舘野氏によれば、「左手だけで音楽を奏でているのではなく、全身で弾いている。音楽は呼吸みたいなもの」とおっしゃっていたのが印象的でした。正にそのような「息吹」を感じさせる演奏です。
左手が右手を見事にカバーしているのではなく、左手独自の演奏がピアノの新しい世界を創っているのだと感じました。もしかしたら、全てとはいいませんが、ハンディと思っているものは案外そうではないのかもしれません。そんなことを考えさせる番組でした。