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子どもの声
2012年10月17日
秋が深まると共に、読書に勤しみたいこの頃です。
今日は本のご紹介。リンダ・ハリディ=サムナー著『リンダの祈り』です。
専門書ではないこういう本はトリイ・ヘイデン著『シーラという子』etc.以来読んでいなかったのですが、教えられ手に取ってみました。
『シーラという子』が虐待を受けた一人の少女と一人の教員との関わりのノンフィクション物語だとしたら、こちらは家族による性虐待から回復した経験をもつ著者自身が書いています。性虐待とはどういうものなのか、被害を受けた子どもはどういった状態になるのか、その後の人生にどういった影響が出るのか、…等を自身の体験も踏まえ、優しく伝えてくれています。性虐待からの回復への道のりを示し、勇気づけ、力を与えてくれる内容です。
著者は様々な辛く苦しい状況を生き延び、現在は被害者支援と啓蒙活動にあたっています。これは被害者だけでなく、教員や警察官、子どもたちの周辺にいる身近な大人たちへも向けられた、大切なメッセージだと思います。
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唐突に、トリイ・ヘイデンの著作の中に出てきたイェーツ,W.B.の詩を思い出しました。シーラがトリイに贈った詩だったかどうか記憶は曖昧ですが、大変心に残ったので…。
さらわれた子ども The Stolen Child
スュリッス森の高原の
岩山ふかい湖に、
木の葉の茂る島がある、
白鷹羽根を拡げれば、
まどろむ鼠の目をさます。
そこに隠した妖精の樽は、いちごがいっぱい、盗んできた
真っ赤な桜んぼもあふれてる。
こちらにおいで! おお人の子よ!
いっしょに行こう森へ、湖(うみ)へ、
妖精と手に手をとって、
この世にはお前の知らぬ
悲しい事があふれてる。
(井村君江訳)