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『嫌われる勇気』

2014年06月10日

『愛される理由』(知ってます?)に語感が似ていますが、全く違うものです。
『嫌われる勇気』、自虐的になれ、というのではありません。前に車内広告で見て、同僚も読んでおり、最近いっきに読みました。哲人と青年の対話形式の文章がたいへん読みやすく、何より面白い!時間が取れれば一日で読めると思います。
著者はギリシャ哲学、アドラー心理学の研究者で、アドラーはフロイト、ユングと並ぶ精神科医であり心理学者です。今日使う意味での「劣等感」はアドラーが研究した概念であり、「児童相談所」の設立も彼によるものですから、その影響力は偉大なものですよね。
この本はアンチテーゼで満たされており、たとえばトラウマやAC(アダルトチルドレン)理論にどっぷり浸かった人はショックを感じることと思います。アドラーは(厳密には、この本は)、過去のトラウマや不遇な環境が現在の症状や問題の原因であるという「原因論」をきっぱりと否定するからです。この先興味をおぼえた方は、是非本を手に取ってみてください。
この本の中のフロイト派の考えやトラウマ理論については、少なからず間違っている部分もあると思うので、それはそのうち反論が出てくることを待ちます。フロイトは「強さは弱さから生まれる」と言ったのですから。
とはいえこの本は、現在生きづらさを感じている人たちに、一条の光明を与えてくれると思います。
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