2020年12月06日
師走を迎えました。今年は静かな年末年始となりそうですね。
相談室は30日までとなり、年始は定休日と重なるため6日からとなります。
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今年、クライアントさんから教えて貰った言葉に、「反出生主義」というのがありました。私は全く知らなかったのですが、どうやら「生まれてこなれけば良かった」という思想や「出産を否定する」立場のことを指すようでした。
面接室の中ではしばしば、「生まれなかったら良かった」「生まれたくて生まれたんじゃない」「こんなに辛いのに、なんであの親は私を生んだんだ?」「生きる意味なんてあるのか?」といった類の言葉が切々と吐かれます。それほど辛いという、叫びなのだと思います。
「反出生主義をどう思いますか?」という問いがあり、少し調べてみました。そして今、森岡正博著『生まれてこないほうが良かったのか?-生命の哲学へ!』(2020,筑摩書房)を読んでいます。どうやらこの「誕生否定」の思想は、2500年もの長い歴史と東西に遍く及ぶもののようです。当然、時代や場所や人によって、その主義の中身には相違があります。原始仏教が反出生主義を出発点としていることは大変驚きでした。
この本は反出生主義の文学や哲学思想を考察しその「乗り越え」を図ったものということですが、精読してから年内にまた感想を書きたいと思います。