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秋の夜長に…

2012年11月06日

久しぶりに夜の映画館へ出かけました。
出演俳優が好きというミーハー気分で出かけ、お腹も空いていたのでポップコーンの大サイズを買ったものの、口の中で溶かしながら食べるはめになった作品でした。まあ、内容は知っていたのですが…。
その名も『危険なメソッド( A Dangerous Method )』。
ほとんどの精神療法の祖ジクムント・フロイトと分析心理学の祖カール・グスタフ・ユング、そしてユングの患者にして後に精神分析家になったロシア人女性、ザビーナ・シュピールラインの人間模様を描いた、大変面白い映画でした。ザビーナ役キーラ・ナイトレイのいびつな?演技にはびっくりしましたが。
全て史実に基づいているのかはわかりませんが、背景の詳細が面白かった。大変マイナーな話題だとは思いますが、ユングの働いている病院の院長はオイゲン・ブロイラー(多分)であろうし、フロイトの古今東西の土着的な置物などで飾られた診察室も見事に復元されたかのようでした。etc.etc.
師匠(フロイト、ユダヤ人)と弟子(ユング、アーリア人)の出会いと訣別までの流れ、偉大なる父を失った後のユングの憔悴しきった様子、ユングとザピーナの関係(その間に入るフロイト)などは、私たち普通の親子関係や師弟関係に普遍的にみられるものでしょう。
しかし…、ユングは職業柄絶対にしてはいけない倫理を犯すばかりか、配慮の欠けた大食いとして描かれている。ザッハトルテを頬張り、フロイト宅での夕食時には肉を多量に自分の皿にとり、他の人のことを一向に考えない。フロイトは子だくさんの普通の一家(ブルジョワではあるけれど)、ユングはお金持ちの妻を娶った関係でかなりの富裕層。この作品からは、ユングには見えていないものが沢山あったように思われました。
橋

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