2025年05月15日
5月は爽やかな風薫る季節。どこからともなく芳香が漂ってきて、くたびれた心身を慰めてくれます。この時季によく見られるのが、次の花。御存知でしょうか。ツル性でほとんど雑草のようなのですが、甘ったる過ぎずにいい香りの「スイカズラ(忍冬)、英名ハニーサックル」です。
これを見かけるといつも脳裡に過るのが、松谷みよ子著、児童文学『モモちゃんとアカネちゃん』シリーズです。60~90年代のベストセラーなので御存知の方が多いでしょうが、若い人はどうなのでしょう…。幼い姉妹の話でファンタジーの要素、多少民俗学の要素も感じられる児童文学ですが、何より家族物語として大変興味深いものでした。子ども向けにしてはかなりショックな現実味を帯びていて、何度泣いたことか…。
で、このスイカズラは何かというと、「この花の花芯の蜜を吸いながら、願い事をイメージするとそれが叶う」というお話があり、二人の姉妹がこの可愛らしい願掛けをしていたのでした。子どもって、こういうおまじないのようなことしますよね?
私も真似をしてやったような、やらなかったような、遥か遠い微かな記憶ではありますが、この香りが時間を引き戻してくれるのです。