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放浪の画家『ピロスマニ』

2015年12月06日

さて、先日観に行った岩波ホールの映画。

なんというか…、鑑賞後はブルーならぬグレーな気分になりました。決して出来の悪い映画ではなく、今の私には観る力が足りなかっただけ…。想像と色々違いました。グルジアの自然や風景がもっと描かれているのかと思ったら街の場面が多かったし、『100万本のバラ』のような分かりやすい情熱的な画家では決してありませんでした。

映画の中の画家ピロスマニは、観ていて歯痒いくらい人付き合いが下手で、損得を考えずその時の感情のままに生きている人でした。感情のままといっても欲得がないのか、孤独のうちに貧しく死んでいった人。観ていて悲しくなってしまった…。

彼はアカデミックな場ではなく独学で絵を学び、酒場から酒場を彷徨い歩き、そこに飾る絵を描いて生計を立てていました。短い生涯の間で、一時は持ち上げられ、その後は「きちんと学んでいない幼稚な絵だ」と酷評され、社会の勝手さに翻弄されました。でも彼の立派なところは、ずっと軸はぶれない生き方を通したところです。

絵は、ややアンリー・ルソーに似ているような、素朴で力強く高い才能を感じさせるものでした。調べたらルソーとほぼ同時代の人。ルソーが50才代から本格的な画家活動をしたとすれば、ピロスマニの方が先なのかも知れないなどと想像していました。

『ピロスマニ』.JPG


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