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ストレス反応=生き残りのためのメカニズム

2020年06月21日

晩に家の中で寛いでいると、外から珍しく猫同士の喧嘩声が聞こえてきました。一匹はかなりいきり立って一触即発ムードの唸り声をあげていました。よく聞いているともう一匹は普通に鳴いていたので、もしかしたら時節柄交尾のための接近だったのかもしれません。それとも単に鈍くさい子が縄張りに侵入してしまったのか…。

いずれにしても10分くらい鳴いていたので、心がザワザワとざわついてしまいました。界隈には猫嫌いの人もいて、何をするかわからない怖さがあったからです。近年野良猫は保護され地域の家猫となりほとんど見られなくなってもいました。一方で猫嫌いの人たちからすれば、猫の異様な唸り声、絶叫に近いような鳴き声は相当な苦痛であったことでしょう。

鳴き声が去ると胸のザワザワはいつしか消え、寝入りばなに読ん文献が妙に心に響きましたので抜粋しながら少し紹介したいと思います。

「ストレスは、おそらく闘争=逃走反応と呼ばれてきたものに対する、より幅広い用語である。ストレス反応は、実際には我々ほ乳類の生き残りのためのメカニズムのための一部である。ほ乳類は、脅かされると、闘う(怒る)か、逃げる(恐怖)。…人間も似たように反応する。しかしながら、動物とは違って、ある重要な次元が付け加わる。恐れも怒りも行動には表さなかったり、…、身体の中に抑圧したりすることがある。……人間の場合、脅威は心理的なものであることがほとんどであるが、脅威が身体的なものであるかのように反応する。」(J.G.Wartkins,H.H.Wartkins『自我状態療法』2019金剛出版より)

動物たちにとっての脅威は侵入者や捕食者など目に見える危機であってわかりやすい。猫は猫に怒り、闘争モードになっていました。人間はもっと複雑で脅威は心理的なものです。私の恐れは猫が虐待などされてしまうのではないかという不安であり想像です。猫嫌いの人にしても猫が直接その人を襲うのではなく、存在や声などがその人に抱かせる観念やイメージに対する、極めて心理的なものです。

心理的なものなのに身体的なものであるかのように身体が反応し、場合によっては身体の中に情動を抑圧し身体症状や疾患として表れるようになる。人がいかに複雑な生き物であるかと思いますが、ストレス反応を生き残りのためのメカニズムの一部と知ると、私たちが「生」を指向するようにできていることに改めて驚くのです。

紫陽花

色づき始め

紫陽花

数日経過…

 

 


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