2023年06月22日
この度は急遽お休みをいただきましてありがとうございました。
ここのところ夜あまり眠れない時、何か読むよりはビジュアルに訴えかけるものがいいように思い、しばしば相国寺蔵の「十牛図」を眺めていました。これは仏教の悟りに至るまでのプロセスを描いたものとのことですが、確か、河合隼雄先生は「自我が自己(セルフ)に出会う東洋的なプロセス」として紹介していたように思います。宗教学者・哲学者の上田閑照という先生も、似たような解釈であったかと記憶しています。
青年(自我)が牛(セルフ)を探して、見つけて、格闘し、飼い馴らし、etc.というプロセスが10枚の図(絵)で描かれています。10枚の図は起承転結を超えて再び「起」になるので一つの円環を成しているともいえるし、また図そのものも円のなかに描かれています。幾つもの円が多層的に描かれていて、とても興味深いものです。
自我とセルフを最大に単純化して、青年を「思考、悩み」、牛を「無意識を含めた丸ごとの自分」と捉えてみると分かり易くはないでしょうか。ご興味のある方は検索してみてください。解釈を入れずに絵を眺めたり、または河合隼雄先生の本などを読まれるといいかもしれません。