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虐待の二次トラウマ

2023年07月13日

最近気になるニュースがありました。
ある大御所ミュージシャンの「大切なお知らせ」を読みました。心のなかで何をどう思うかはその人の自由ですが、自分の立ち位置がどこにあるのか自覚して発言してほしい、特に社会的に力のある人は己の発言力の影響をよくよく考えて発信してほしいと強く思いました。

心を扱う仕事をしているので看過できないのですが、性加害・性虐待は社会的、倫理的な問題などでは決してなく、犯罪なのだということを忘れてほしくありません。年端もいかない子どもたちが性被害に遭うと、特に加害者が権力ある立場の人や日頃自分に良くしてくれる立場の人であると、自分の身に何が起きたのかあまりよく理解できない、ただしあまり口外してはいけない、秘密にしなくてはいけない、自分が悪いのではないか…という負い目のようなものを陰に陽に抱え、その後、生き辛さを抱えたり乱高下の激しい人生を送っているように実感します。

自分が経験したことをやっと口にすることができるようになっても、それを受けとめる大人や社会の側の姿勢や発言によって、二次トラウマを受けることにもなります。二次トラウマの方が実は傷が深いという報告もあるくらいです。「話すんじゃなかった」と更に自己のなかに閉じ籠ったり、自己否定感、無力感、自己懲罰などが強まらないか、非常に危惧されます。

「性加害は追及されねばならないが、それとその人の仕事の偉大さは別であり、その人に自分は恩義がある。自分が人として大切にしているのはそこなのだ」というようなことを力のある者が述べたとしたら、意を決して発言した者たちがどのように感じるのか、なぜ想像がつかないのでしょうか…。仮に自分の子どもが同じ目に遭遇していたら、その時は異なる発言をするのでしょうか。

大人として残念だなと本当に思います。家人が彼の曲を聴いていて間接的に私も聴いていただけに、尚一層複雑な想いを拭えません。

 

 


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