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情熱
2012年01月20日
先日、チャイコフスキーの『悲愴 (Pathetique)』を聴きに行きました。
フランス語の pathetique (パテティク)は、英語ではpathetic 「哀れを誘う、悲しい」の
意味。名詞はpathos 「哀愁、悲哀」、日本語でも「ペーソスを帯びた…」などと使います
ね。
元々はギリシア語の pathos (パトス)に由来し、パトスの意味は「情念、感動、強い感
情、情熱」など。英語の passion (パッション)もこれと同じ意。情熱の意味でこれもよく
使います。
the Passion と記せば、「キリストの受難」のこと。余談ですが、メル・ギブソン監督の強
烈な映画がありました。
情熱、情念というと、何か熱い赤いものが燃えさかっているようなイメージを抱くのです
が、pathos (パトス)には元々「受動、受け身」という意味があるとのこと。
情熱と受動。
私にはこれらが結びつき難かったのですが、情熱とは強く何かに影響されて、抑えるこ
とができない感情ということなのでしょうか。情熱家は激しく能動的な人かと思っていま
したが、どうも違うようでした。
資料によれば、チャイコフスキーの Pathetique は「受苦」と受け取るといいようです。
彼の受苦、どうしようもない、途方もない苦しみは何だったのでしょうか…
演奏は実に熱情的で、しかも静かな音で終わる。
魂を揺さぶられた体験でした。