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Hereafter

2012年06月23日

本日は映画について。
クリント・イーストウッド監督の『ヒア アフター』(2010, 米)を観ました。
これは映画の冒頭にインドネシアの津波のシーンが描かれているために、日本では1ヶ月弱で公開中止になった作品です。hereafter とは、来世という意味です。
物語は、フランス人の女性とイギリス人の男の子(10才くらい)とアメリカ人男性のそれぞれの物語がいつしか国境を越えて接点を持ち始め、それぞれの人生に変化の兆しが見え始めるという、とてもしっとりとしたお話でした。
女性は津波の被害者で、そのとき「死後の世界」のようなものを垣間見たことから自分の生活がしっくりいかなくなる。男の子はドラッグとアルコール依存のシングルマザーの元で育てられ、ある日突然双子の兄を事故で亡くしたことで深く傷つき、心のどこかで兄を探し求めている。アメリカ人男性は、亡くなった人と交信できるという特殊な才能のために社会の中で傷つき、ディケンズの朗読ラジオ番組を毎晩楽しみに生きる孤独な青年。
私は俗的なイメージの死後の世界も霊能者の類いも信じていないのですが、もしもこのような能力のある人だったら、さぞかし社会に利用され、身内にも利用され、人間関係にも傷つき、きっとこの人のように孤独と寂しさのなかに生きることになるんだろうな…と深く共感することが出来ました。クリント・イーストウッド監督の手腕はさすがだなと…。
死後の世界があるか否かの話ではなく、人が人に出会って心の傷を癒やし、人生の一歩を踏み出す映画なのだと思いました。
一枚の葉

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