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歴史上の女性
2012年06月13日
今日は映画話。
つい先日、『血の伯爵夫人』(2009, 独・仏)という映画を観ました。『エリザベス』(1998, 英)のようなものを期待していたら、エリザベスが100ならこちらは20?というくらい、全く感情移入できませんでした。
どちらも歴史上存在した人物です。血の伯爵夫人はハンガリーのエリーザベト・バートリのことで16世紀後半の人。エリザベス1世も確かほぼ同じくらいじゃなかったかと思います。少し前だったかな…。
そのタイトル通り、ご存じの方も多いと思いますが、エリーザベトは美と若さを保つために、処女の血を求めて残虐な殺戮を繰り返したと言われています。伝説か史実かはわかりませんが…。(これがただの伝説なら、なんという名誉毀損でしょう!)映画ではその辺の性倒錯的なところはあまり描いておらず、ある年下の若者(青年)との恋愛が発端で、時の経過による美貌の衰えを恐れて純潔で若い血を求めていったことになっていますが、恋もその狂気も随分中途半端な描き方でした。
今、自己愛についての本を読んでおり、そのなかに「自己愛の人は、事実とは異なる自己の幻想のなかに生きる。自分のシナリオどおりに話が進まないと傷つく」とありました。自己愛は誰にとっても必要なものなのですが、これは病的な自己愛の話です。エリーザベトが処女の血を自分の頬に塗りたくり、鏡に映った顔を恍惚として見入る様子は、たとえ幻想でも、偽りでも、彼女にとっては真実なのでしょうね。
ちなみにこの映画を観るのなら、池田理代子のベルばら最終巻だかにこの話がありましたよね。こちらのほうが、凄みがあってずっと震え上がります。