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ことば

2013年03月06日

今日ニュースの国際面を読んでいたらこんな記事を見つけました。
「チリのノーベル文学賞受賞者の詩人パブロ・ネルーダ氏の遺体が、死因究明のため掘り返されることになった。軍事政権による毒殺の可能性があるとの告発を受けて…」。詩人は1973年軍事クーデターの直後に癌で亡くなったとされています。
話は変わり、先日、「一番好きな映画はなにか?」という話題がある場所で出たとき、答えにとても窮しました。何が一番かを決めることは難しいし、「好きな映画は?」とか「趣味はなに?」などと聞かれると咄嗟には「いろいろ〜」と子供染みた答えしか出てきません。そうはいうものの「一番好きな映画」を問われて、頭の中にぼんやり映像が浮かんだのは『イル・ポスティーノ』という1994年のイタリア映画でした。
イタリアの小さな島が舞台で、貧しく内気で純朴な郵便配達夫が主人公の映画です。
その島に亡命してくるのがチリの詩人パブロ・ネルーダとその妻で、彼らとの交流を通し、主人公が愛や詩・文学の世界に目覚めていく作品です。終盤、主人公が光溢れる海辺で録音機を回しながら、波や風や鷗の鳴き声などの自然界の音とともに、自分の詩を読んでいく場面がとても印象的でした。青年が一つ一つ自分の言葉を紡いでいくシーンが鮮やかに描かれています。自分の言葉をもつということ、自己表現をするということは、心理療法においても何より大事なことで、そんなことを重ねながら観てもいました。
でも何よりこの映画を観て思ったのは、自然や世界や人々を愛する心というものは、知識や教養とはあまり関係のないところで生まれ育まれるのではないか…ということでした。とはいえ、主人公はネルーダと知り合うことで知識も表現方法も得ていくのですが。因みに映画は架空のもので、ネルーダがイタリアの小島に亡命していた事実から着想を得て物語が作られたとのことです。私は詩人や詩人の詩については何も知らないのですが、チリの歴史に深い関わりがあり国民的英雄とのこと、その終焉についてはどのような結果がでるのでしょうか…、やや気になります。
海

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