2015年07月16日
12日(日)のNHKスペシャル「腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム〜」を見られた方はいらっしゃるでしょうか?
これが久しぶりに面白かった。「ためしてガッテン!」はまどろっこしくてムズムズして早回しで見るのですが、この番組は違いました。(とはいえ、Nスペをどれだけ信用できるのかはまた別問題でしょうかね?)
腰痛といってもこの場合は3ヶ月以上続く慢性腰痛のことで、レントゲン検査等で異常が明瞭に分かる腰痛ではありません。(しかし椎間板ヘルニアのような疾患についても、従来のような外科的手術は必要ないと言っていました。)
視覚的に異常はないとされる慢性腰痛において、ではその痛みはどこから来るのか?
それは脳から来る、というものでした。えっ、当たり前?当たり前ですよね。
体のどの痛みも、脳が感じ、認識するものなのですよね。例えば、失った手脚の痛みを感じる幻痛にも仕組みが似ているのかなと思われました。なぜ体に異常がなくても脳が痛みを感じるのかというと、痛みを抑える脳のある部位(アルファベット4文字程の部位名でしたが、憶えたのに忘れました!)の働きが弱まってしまうから、ということでした。
そこまでは理解できるとして…。
じゃあ、その部位の機能は何故低下してしまうのか?
ここが面白いところです。その部位の機能低下を招くのは、「恐怖」という感情のせいなのだそうです。例えば、「またあの激しい痛みに襲われるのではないか?」「今度腰痛が起きたら、もう動けなくなるのではないか?」「仕事や家事を休むことはできない。皆に迷惑をかけてしまう。」等といった認知に関連した「恐怖感情」が、痛みを抑える部位の働きを弱めてしまうということでした。
こういうプロセスのようです。
例えば、ぎっくり腰 → 動けないほどの激しい腰痛 → やがて動けるようにはなるが… → 痛みの記憶と恐怖の感情が慢性腰痛を生じさせる。
というわけで、現在腰痛治療に最も効果が高いとされているのは、「認知行動療法と運動のセット」であり、2番目に薬物療法がくるということです。しかも、運動はストレッチなどの筋肉をほぐす運動ではなくて、恐怖を克服するための運動なのです。ですから恐怖を生じさせるような動きを、少しずつ行っていくのです。オーストラリアでは3週間の認知行動療法と運動のセットプログラムが既に始められているとのこと。
恐怖…。
腰痛治療研究の応用が、更に深まり広まっていくことを多いに期待しないわけにはいきませんね。