2015年07月29日
シネスイッチ銀座へ映画『アリスのままで』を観に行ってきました。
50歳の高名な言語学者の女性が若年性アルツハイマー病に罹るストーリーです。アルツハイマーの高齢者は仕事において接触していたことがあったので、随分キレイに描きすぎているんじゃないの〜?と思うところもありましたが、静かに描かれているところが却って良かったなと思われる作品でした。
家族の苦悩、特に配偶者の苦悩はほとんど取り上げられていません。主人公が50歳で、夫とは学生結婚らしき設定を考えると、夫にとってもっと切実な出来事なんじゃないかと思いますが、よくできた愛の深い配偶者です。(できすぎの感も?)
3人の子供達の苦悩も詳しくは描かれていません。家族遺伝性のため50%の確率で子どもに遺伝し、陽性であれば必ずや発症するとのことですが、長女は陽性、長男は陰性、次女は検査を受けず…、長女は双子を出産…とそれぞれの選択が間接的に描かれています。
主人公はあくまでもアリス。
アリスの台詞で、「私は今まで知性や言葉というものによって自己規定してきたけれど、それが今失われていくのよ」というものがありました。これは本当に興味深く、常々考えているところでもありました。
「私」という存在は、一体何者なのか?
名前、性別、年齢、職業、結婚や子供の有無…etc.
こういったものの意味が薄れていったら、認識できなくなったら、「私」というものはどう規定できるのか?「私」というものは、そもそも流動的で、関係性のなかで規定されるものなのかもしれないけれど…。
「ビッグイシュー日本版(5/15号)」のインタビュー記事のなかで、アリスを演じたジュリアン・ムーアが、「多くの若年性アルツハイマーの人たちを取材するうちに、”自分”というものが完全に無くなってしまうようには思えなかった」ということを言っていました。
この作品を観られた方は、どう思われるでしょうか…。