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『恋愛の心理』

2015年09月06日

白山通り沿いの銀杏の緑が褪せてきました。これから少しずつ黄金色に変化していくのでしょうね。

さて、読書の秋。読まなくてはいけないものがあるものの、こういうときこそ別のものが読みたくなり、森田療法の創始者である森田正馬の書いた『恋愛の心理』(1924/1958 白揚社)を読んでいました。森田正馬と言えばフロイトと同年代の人で、明治、大正、昭和を生きた精神科医ですが、一体恋愛の何を書いたものなのだろうと興味をもっていました。エッセーか何かかと思っていたら、いやはや結構読み応えのある内容で、恋愛とはなんぞやということを人生観の立場から捉えており、恋愛や男女の関係性の在り方を説いているものでした。

森田療法は神経症の症状を除くことのみを目標としているのではなく、神経症になるような生き方そのものを変えていくことを目指しているので、この『恋愛の心理』も大いに人の生き方に関わってくるため勉強になりました。

それにね、この先生の物の言い方、たとえの使い方が、昔の人の言い方もあってか、とても魅力なのです。何度笑えたことでしょう。例えば長い引用になりますが…、

「そこで恋愛の永続に大切な条件は、恋愛に対する適度の刺激が継続的にあることと、その感情を思いのままに一どきに発散、実行しないということである。食欲でも思いのまま過食すれば嘔吐、下痢を起すようなことになるのと同じである。要するに恋愛も腹八分目にして、腹一パイにしてはいけない。恋に荒んでも、恋の奴隷になってもいけない。」

臨床をやっていると、スターマインのような(?)恋愛を繰り返して辛い思いをしている人が多いように思います。どの世代にもお薦めの本です。ただ、如何せん時代が古いので、現代の人の”生”に当然そぐわない部分は多々あります。結婚観や男女観などは立ち止まって唸ってしまうところもあるし、差別的なんじゃないのと思われるところもありました。科学的にも古いところはあると思います。そういうところは上手く流しましょう〜。

ミツバチの戯れ.JPG


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