2016年02月25日
『スタンフォードの自分を変える教室』
このベストセラーを今頃になって読み終えました。読む前は軽〜く見ていたのですが、とても実践的な内容で面白く読めました。世間のカスタマーレビューも概ね高評価のようですが、中には?というものも。感想は主観で構わないとはいえ、この類いの本には慣れや読解力の問題も関係してくるのだろうなと思います。
こういった本や森田療法の本などを人に薦めても、「当たり前のことしか書かれていない。じゃあ、どうするの?」という感想を得ることがしばしばあります。では、その当たり前のことを日々実践しているのかと言えば、決してそうではありません。どうするの?と問う前に、しばらく腰を据えて実践してみて、そこからどうなっていくか、自分を観察してみるのが大事なのだと思います。「衝動に駆られる前に自分の呼吸に意識を向けてみる」とか、「目の前の報酬ではなく、長期的な先の報酬を思い起こす」など、当たり前と言えば当たり前ですが、いかに虚心坦懐に取り組めるかが変化への鍵になるのです。
著者が提示している多方面(行動経済学、神経科学、行動心理学、生理学等)の科学的な実験例と彼女の主張は、決して「目の前のチョコ、クッキー、タバコ、アルコール、ドラッグ等に、いかに意志力によって手をのばさないか」という卑近な例にとどまる話ではないのです。そのように勘違いしていたレビューもなかにはあったので。目の前のチョコやクッキーに対する人の行動は、「人間関係において衝動的に動いているパターンや日常生活の諸々の行動傾向」を、分かりやすく教えてくれている比喩でもあるわけです。
一つ気になったのは「意志力が優れていれば、健康で人間関係も良好で収入も高く出世し逆境にも強く寿命も長い」というところ。うーーん、そこはそんなに単純な話ではないと私は思っています。
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星千年木。今朝来たら、地味ではあるものの繊細な花が咲いていました。夕方には閉じます。