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感情は計測できる

2020年10月25日

テレビニュースでIT技術の国際展示会の様子を放映していました。遠隔で操作する医療機器など最新技術が色々と紹介されていたのですが、なかでも非接触型で人間のバイタルサインを測定する機器が目を引きました。体温は既に非接触型体温計が出回っていますね。私の見間違いでなければ「体温、呼吸(酸素飽和度?)、心拍、血圧(本当?)」の4つを一度に非接触で測れるということでした。

最近読んだ本、ユヴァル・ノア・ハラリ著(2020、河出書房新社)『緊急提言パンデミック』のなかに、このパンデミックを境にして人間を監視する技術は「体外監視」から「皮下監視」へと劇的に移行するということが指摘されており、時を同じくして読んだもの見たものが重なって色々と考えてしまいました。

ハラリ博士は皮下監視の有効利用(ex.医療的利用)を称えると同時に、負の側面にも言及していました。少し引用すると、 “ ぜひとも思い出してもらいたいのだが、怒りや喜び、退屈、愛などは、発熱や咳とまったく同じで、生物学的な現象だ。だから咳を識別するのと同じ技術を使って、笑いも識別できるだろう。… ”

例えば、会社の採用試験か何かで、志望者にスマートウォッチのようなリストバンドを渡して生体情報のデータを一定期間ある程度集めれば、その人が覇気のない無気力な人か、怒りっぽい人か、或いは朗らかな人かなどがわかってしまうのでしょう。企業側からすれば面接で賭けに出るよりも簡単で合理的で確実な採用方法になるのかもしれません。

もしそうなったら人は何を思いどのような行動に出るのでしょうか…。こういう時に倫理とか人権とか人文・社会科学が益々重要になってくると私は思います。

 

 

 

 

 

 

 

 


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