1. 心理 東京
  2. ブログ 心's LOOM
  3. 人の目

人の目

2022年07月17日

ニュースを追っていてふと見つけたのが、「山本コウタローさん亡くなる」という記事と精神科医北山修先生の温かい追悼文でした。多分若い人は御存知ないのではと思いますが、山本コウタローさんは元々シンガーソングライターで「走れコータロー」や「岬巡り」が有名です。

彼が歌手として現役の頃は私も知りませんが、高校何年生だったか忘れましたが文化祭にやってきてライブを開いてくれることになりました。生意気盛りの高校生たちにとって、ほとんど前評判にもならず、どうしてあのおじさんを呼ぶんだ?ぐらいの空気だったようにおぼえています。

案の定すごかった。私は真面目?だったので観に行ったのですが、パイプ椅子が並べられただけの体育館に先生方を抜かして生徒は一体何十人だったのか…。一クラス50人一学年9クラスほどはあったと思います。

ただの体育館なので音響も頗る悪かった。ギターの弾き語りなのですが時々キーンキーン反響してしまい、観ているこちら側がその度に冷や冷やしてしまいました。何というかこんなところにわざわざ来てもらって失礼に当たらないのかと…。

しかし、彼は少しも動じずに、あの風貌のように飄々と楽しそうに、ギター片手に軽やかに「走れコータロー」を歌ってくれました。何しろ云十年も前なので、あと憶えているのは「ハナゲの歌」だけなのですが。兎にも角にも表現者にとってあの劣悪な環境下で最後までライブをやり終えたのですから、とても不思議でなりませんでした。

でも今は、人の目を大いに気にしていたのは思春期のこの自分であり、彼は稀有な存在の愉快で天晴れな大人であったのだと思います。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 


このページの先頭へ