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秋分の日に

2022年09月24日

コロナは過ぎ去ったような錯覚を覚えますが(WHOの終息宣言?)、オフィスにいながらオンラインで学会に参加していました。2020年春から始まったコロナ禍の子どもたちの実情や、近年激甚化している自然災害などの被災地の子どもたちの心のケアなど学びの多い発表ばかりでした。

とりわけ招聘講演の新聞記者大治朋子さんのお話がとても響きました。『歪んだ正義「普通の人」がなぜ過激化するのか』というテーマで、テロや犯罪事件などの長年にわたる取材と、大学院で学ばれた安全保障論や危機トラウマ学を基にした知見だったので、時宜にかなった大変興味深い内容でした。

犯罪を引き起こさないようにするには社会へのアプローチが不可欠ですが、個人へのアプローチとして以下のことを挙げられていました。

①自己ナラティブ生成力を付ける。
②脳化社会からの積極的な離脱支援をする。

自己ナラティブとは自己語りのことで、自分の思いや感情などを表現する力をつけることです。大事なのは被害者意識だけに囚われない「主体性のある語り」を創ります。

これはナラティヴセラピーにおける、ドミナントストーリー(優勢な物語)からオルタナティブストーリー(代替の物語)への書き換えに似ていますね。例えば「私は元被虐待児だ」から「私は元被虐待児だが今まで何とか生き抜いてきたし、自分に出来ることをしようとしている」というのがストーリーの書き換えです。

②については「脳」から離れて「首から下、身体」をもっと志向していくことです。脳化社会とは偏差値やIQ偏重の社会であり、そこからの離脱とは情緒的コミュニケーション能力やメタ認知(認知を超えたもの)を重視していくことを目指します。「私は怒っている」は認知で、「私は(自分が)怒っていることに気付いている」がメタ認知です。また②には電脳空間と健康的で適切な関係を築くというものも含まれると思います。

詰まるところ上記2つのアプローチは、どんな人にとっても必要なもののように思われました。

a sleeping cat – capsule toy

 


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