2023年12月02日
2023年も残すところ約一月となりました。
2024年は一体どのような年になるのか、抗えないところでは確実に気候変動の問題がありますね。それからいつ起きてもおかしくない地震など自然災害の問題。身近なところでは物価高とか様々な業界における人員不足の問題。数え上げればきりがありませんがどうみてもnegativiなことが多いような…。物価高は目指すべきところだとする評論家が多いですが、庶民の所得が上がらなければ人心は疲弊していくのみです。
ではpositiveな面はどこにあるのだろう…ともこの頃よく考えます。AIが生活の隅々にまで入ってきて第二のIT革命が起きることなのか。AIの使い手である人間の能力や良心、道徳が一層問われるであろうし、淘汰される仕事と必要とされる仕事の交代がスムーズにいくかどうかの心配もありますが、きっとメリットも沢山あるのでしょう…。ウェアラブルなAI端末で母語で話しても直に通訳されるようなものがあれば、外国語の勉強もいずれは不要になるかも?
人々の生き方、心の在りようはどうなっていくのでしょうか。
この間コラムか何かで「女性にとってこれというロールモデルがないのが現代であり、だからとても生き辛い時代なのだ」という趣旨のものを読みました。これは日々の臨床の中でも切実に感じていたことでした。特にトラウマが無くても「何をしたいのか、どうなりたいのか、したいことがよくわからない」という方が実に沢山いらっしゃいます。
ロールモデルのなさは多様性の尊重やジェンダーの問題とも大いに関係がありますよね。ライフスタイルの多様化、結婚するか否か、子を生むか否か、どこで何をしてどのように生きていくのかなど、(少なくとも建前は)自由に選択できるのが今の社会です。昔の女性たちは結婚したり子供を生むことを選択だとは思わずに無意識に当然のこととして受け入れてきたのではないでしょうか。
私はこの「選択」や「多様な価値観の尊重」というのは自由や自己肯定に繋がっている尊重されるべき権利だと思っています。一方で、分かりやすい御手本がなかったり、好むと好まざるとに関わらずその手本から外れた人生を歩むとなると、茫漠とした世界のなかを進んでいくような不安な感覚に襲われるのではないでしょうか。
特に日本は世間の同調圧力が強く、また失敗すると自己責任論が強い社会なので、並々ならぬ生き辛さ、息苦しさを抱えて生きることになるのだと思います。勿論このことは女性だけでなく、今の時代を生きる男性たちにも同じなのかもしれません。2024年の希望があるとすれば、色々な生が肯定され、且つ孤独や孤立をこれ以上深めない社会になってほしいということです。微々たる力でも自分に何ができるのかも考えていきたいと思っています。