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読書1

2024年02月04日

昨日は節分でしたね。皆さんは豆撒きをしましたか。私は豆撒きをして恵方巻も食べました。恵方巻の習慣は子どもの頃は全くなかったのですが、美味しいですよね。恵方位を向いて一気に食べるのは勿体ないので、普通にカットして夕飯でいただきました。

さて今年初めての読書として、前回のブログで取り上げた『ネガティブ・ケイパビリティ』-答えの出ない事態に耐える力-(2017、帚木蓬生)を読んでいました。ポジティブ・ケイパビリティが問題解決能力だとしたら、ネガティブ・ケイパビリティは「答えのない困難な事態や複雑な状況に急いだり焦ったりして安易な理由や原因、解決方法などに飛びつかない、不確実さ、懐疑の中にいることができる負の能力」ということでした。

精神医学の限界を感じていた精神科医の著者が、アメリカの精神科医の論文を発見し、詩人キーツに端を発するネガティブ・ケイパビリティの重要性を説いているものです。ネガティブ・ケイパビリティが、精神科医療や終末期医療を始めとする医療、音楽や絵画などの芸術、文学、教育に如何に濃厚に関わってくるか、とても読み応えのある構成となっています。

初版が2017年ということを考えると、非常に感慨深いものがあります。世界はまだコロナ禍も本格的なウクライナ侵攻やガザ攻撃も経験していないのに、終章は「寛容とネガティブ・ケイパビリティ」となっているからです。この負の能力を土台にしてこそ真の寛容さや共感といったことが成り立ち、未来に益々必要なのだと著者は語っています。


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