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白いリボン

2012年01月26日

お正月にミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」(2009独英)という映画を観ました。
モノクロだったこともあり、一度は途中で居眠り…。というより横眠り…。面白い映画
だということで、再度挑戦して見終わりました。
一言、怖い。重い鼠色の雲が、空一面低く覆い被さっているような印象の映画です。抑
圧された人々(子ども)が何を考え、何をするかわからない恐怖にみちた作品です。
舞台は1913-1914年、第一次世界大戦直前のドイツ北部の小さな農村です。収穫祭など
牧歌的な村の様子が描き出されながら、村人の大半は貴族一家の荘園で働く小作人であ
り、教職より仕立屋のほうが食べていける、息苦しく貧しい時代です。
映画は冒頭から医者の落馬ではじまり、村人の転落死、村の納屋の全焼、子どもの失踪
と暴行事件などが次から次へと起こり、犯人はわからない。幾つかの家庭における、親
子や男女の歪んだ関係性も描かれていきます。
白いリボンというのは、牧師が子供たちの腕に巻く「純真無垢」の証、戒め・罰として
のリボンのことを指します。帰宅が遅い、学校で騒いでいた、自慰行為をした、などの
理由で厳格に罰せられる。鞭や打擲よりもっと子どもの心を深くえぐるのは、この白い
リボンなのかもしれません。「お前は穢れている」ということの証なのですから。
絶対的権威者として振る舞う父と力のない母、緊張感に包まれた家、というのは何も牧
師一家だけでなく、この時代に共通することなのかもしれません。では、現代が全く違
うかというと、果たしてそうなのでしょうか…。
「白いリボン」公式サイト
www.shiroi-ribon.com/
小菊 in クラクフ

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