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老年期

2012年05月07日

大変久しぶりに珠玉の一品に出会いました。それはポーランド映画、『木漏れ日の家で』(2007)。
まずこの映画、20代-30代前半の人には、あまり良さがわからないだろうと思います。恐らく…、退屈かと。老後とか老いとかを少しでも考えたことのある人なら、きっと少なからず響くものがあるのではないでしょうか。
「主人公のアニエラは91歳。愛犬のフィラデルフィア(ボーダーコリー)と共に、生まれ育った木造の古い趣のある家に暮らしている。息子一家との同居を望みつつ、息子や孫とは何となく折りが合わない。老人をなめるよからぬ連中もいる。そんなとき、息子が勝手に家を売ろうと企んでいることを知る。…」
あらすじはさておき、このアニエラが一筋縄ではいかない大変魅力のある老女なのです。「老いては子に従え」的では全くない。自分の意見を持ち、嫌みもユーモアもきかせることができる。おまけに趣味は双眼鏡で隣家の様子を探ること。これは最初、孤独が生む所作?と受け取れたのですが、実は、人への関心を失っていない瑞々しさだと次第に気づきました。アニエラが魅力的なのは、最期まで自分の人生を自分で切り拓いていくところです。家族とハッピーエンド、という単純な話でもありません。かといって、孤独のままに人生を終わるのでもない。愛犬のフィラもとてつもなく可愛い。
モノクロの映画のせいか、最初は眠りそうになったし、また老女の皺の陰影が余計にくっきりしていて気分が多少萎えていたのですが、いつの間にか引きずり込まれ魅了されていました。観たらきっと、女性も男性も生きる勇気が湧いてくる作品です。
花

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