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新型うつとは?
2012年05月10日
先日、録画してあった「新型うつ」についてのNHKスペシャルを観ました。NHKではここ最近、新型うつについてよく取り上げていますね。
こういう新しい呼称が出てきたときにまず思うのが、いつ、どこの誰が「新型うつ」という言葉を使ったのか?、という疑問です。それから、新型うつについての正しい「定義」です。
前者の疑問はわからずじまい。推し量るに「病院など臨床の場で、どうも従来の鬱とは違うものが見られる」ゆえに「新型うつ」と名付けられたのかなと。それから定義の方も曖昧で、「若い人たちに多く見られ、職場などで鬱症状に似た不適応を起こすが、職場を離れたところでは比較的元気に活動できる状態」ということらしい。
新入社員などで、例えば上司にちょっと怒られたことなどがきっかけで出社できなくなる。けれども、家で大人しくしているのかと思いきや、旅行や趣味の活動なんかは楽しんで行っている。理解に苦しむ周囲からは「怠け、甘え、わがまま」と捉えられてしまう。
番組では上記のような状態像を「新型うつ」と言うようなのですが、新型うつは医学用語でもなく診断基準もありません。便宜上、このように大雑把に使っているのかもしれませんね。ある医者は、新型うつといってもその背景にある病理は様々なので見極めが大切だと言っていました。
だけど、この新型うつ。
笠原嘉先生という精神科医がかつて言っていた、(部分的)退却神経症というものとよく似ているなと思います。この部分的 or 選択的退却神経症というのは1970年頃から見られた現象で、学校や仕事などの本業には気力が湧かず行けないのに、遊びや趣味などはある程度楽しめる若者たちのことを指していました。
1970年から約40年。当時と今の比較、よくわかる人に話を聞いてみたいものです。