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母と娘

2012年05月14日

昨夜は遅ればせながら、『ブラックスワン』(2010)を観ました。勝手に推測してニ重人格の話かと思っていたのですが、偶然にも「母の日」にぴったりの母娘関係が主軸となっている映画でした。
観た方も多いと思うのですが、主人公は「白鳥の湖」の主役の座を射止め、プリマとなった女の子。あの女の子は、一体何歳の設定だったのでしょうか。演ずるナタリー・ポートマンが30歳くらいなので、ついついそのぐらいの歳を想定してしまうのですが、いつもピンクのコートを着ていたり、部屋には大小のぬいぐるみが沢山飾ってあったり、寝入るときはオルゴールを母が鳴らしたりと、それはまあ、お人形のように扱われていました。でも、ただのお人形じゃなく、いつも悲痛な面持ちの極上の「いい子」。
母も気持ち悪い。とっくにバレエ界から遠ざかっているのに、いつまでもバレエダンサーのような髪型と体型の持ち主。自分の価値観のなかでしか娘に生きることを許さず、自分の夢を娘に重ねて期待している。
主人公は黒鳥を踊るにはセクシュアリティが足りないと振り付け師から言われ続け、次第に妄想と幻覚が昂じ、母の世界に抵抗していく。悲劇として幕が閉じられているのか、そうではないのか…。
バレエ界もなかなか残酷な世界ですね。プリマはたった一人だし、代役は一団のなかでNo.2ではあっても主役が降りない限りは日陰の身。また、主役の座を追われた前プリマ演ずるウィノーナ・ライダーは、実生活でも問題ありでだいぶ映画界から遠ざかっており、何とも痛々しい出演でした。監督の狙いなんですかね?
しかし、こういった母娘関係、バレエや音楽、スポーツの世界で top を目指す親子たちに限られた特殊な世界というのではなく、親子関係の典型像の一つではないでしょうか。「女性であれば、この亜流に属する」、と私は思います。
yamori

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