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黄色い星

2012年11月24日

外気が大分寒くなってきましたね。温かいものが美味しい季節となりました。
たまにはちゃんとしたものをと思い(映画の話)、昨夜は『黄色い星の子どもたち』(2010仏)という作品を観ました。原題は『 La Rafle 』、英語だと「 The Round Up」 で、「一斉検挙」の意。いつも思うのですが、洋画の原題は直截(せつ)的です。日本の題名の方が情感がありますね。
この映画は、1942年7月にナチスとフランス政府によって、パリに暮らすユダヤ人1万3000人が一斉に検挙されたヴェル・ディヴ(冬季競輪場)事件について扱っています。男性だけでなく、女性や子ども、赤ん坊までが一度冬季競輪場に収容され、最終的にはポーランドの絶滅収容所へ送られてしまいます。
黄色い星、というのはユダヤの星のこと。
1942年6月より、6歳以上のユダヤ人は、黄色の星を衣装に付けることを義務づけられます。
ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)事件というのは、1995年に初めてこの事件に対するフランス政府の関与をシラク政権が認めたとのことでした。それまではナチスだけの仕業にされていたのですね。
こういう話は「過去の出来事」なのではなく、形を変えて繰り返されていくことが非常に恐いことなのだと思います。犠牲者が加害者に、加害者が犠牲者に、くるくると役割を変えながら。映画のなかでは迫害に荷担するフランス市民たちがいれば、身を投げうって動く善良なフランス市民もいる。そうではあるけれど、犠牲になった人たちの魂はいつか救われるのだろうか…、と重い気持ちになりました。
野菊

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