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6つの感覚
2013年05月23日
ヨーロッパ経済が不況なため、今年は普段あまりお目にかかれない貴重な芸術作品がぞくぞく日本へ来ていると聞きました。芸術作品の出稼ぎ、ですね。確かに、見渡せば行きたい展覧会が目白押しです。
今週は、15世紀末の作品、『貴婦人と一角獣 The Lady and the Uicorn 』というタペストリー展を観てきました。これはフランス・クリュニー中世美術館のもので、海外に渡るのは2度目なのだそう。それほど大切なものなのでしょうね。
ユニコーンという想像上の生き物やこのモティーフに関心はあったけれど、何より一連(6枚のタペストリー)の作品のテーマが心理学や心理療法でも大切な事柄だったので、催しを知るやいなや足を運びました。
そのテーマとは、6つの感覚。
6枚のタペストリーは順に、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」、そして最後は「我が唯一の望み」と題が付けられています。(元々題があるのではなく、そう読み取れるのだそうな。)
それぞれのタペストリーは、重層的に寓意を読み取ることができると言います。たとえば、貴婦人はマリアでユニコーンはキリストとか、ユニコーンは恋愛の象徴だとか、他の小動物や草花はこれこれしかじかを表しているとか、解釈は様々にでき、また観る者が自由に自分を投影してもいいのだそうです。
素直にみるならば、最後の「我が唯一の望み」とは、「第六感」、「五感を統べるもの」、「心」なのだとか。或いは、「愛」や「理解」、「自由意志」、「結婚」などとも解釈できるようです。
画像は「我が唯一の望み」。ポストカードの一部を写真に撮ったもので、実物はもっと重厚感があります。因みに他の5枚は、「味覚」なら貴婦人が角砂糖をオウムにあげていたりと、すんなり理解できます。唯一の望み、とは一体何なのか。たとえば貴婦人の所作は、宝石を身から外して箱にしまうところなのか、それとも身につけようと箱から出しているのか、どちらの解釈も出来るようです。私は身を飾る宝飾品を外し、禊ぎ(テント)に入るような印象を受けたのですが、いかがでしょうか…。
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