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衝撃的な一冊
2014年11月11日
と言っても心理系の本ではありません。
でも心に通じていくもの、だと思います。
ハンス・シルヴェスターというドイツのフォトグラファーによる1冊の写真集。その名も 『ナチュラル・ファッション』 (2013, 武者小路実昭訳 DU BOOKS)。ファッション写真というよりむしろそこに載っているのは、目を瞠るばかりの芸術作品たち。
これは人類発祥の地とされる東アフリカの国、エチオピアに暮らす2つの少数部族の「装い」を撮ったものです。その装いは宗教や儀式など何か特別な日のためのものではなく、ごく自然に即興で身に纏ってしまうのだとか。ページを繰りながら、そのあまりの美しさ、躍動感、生命力に圧倒されてしまいました。ちょっとグロテスクな風習はさておき、声を失ってしまうほどでした。
彼らは「動物や生き物に似せた恰好を目指しているのではないか」とのことです。自然界のなかに美を見出し、体を色とりどりの火山土で個性的にペイントし、植物やそこら辺に落ちているもので自身を装飾する。現代の私たちがオシャレや化粧などをして遊んだり、より自分を良く見せようとするのも、人として根源的な行為なのだと思えてきました。
ただ私たちと違うのは、彼らには鏡がないということ。そして透明な池や川もないので、自分を見ることをしないのだそうです。部族の仲間を見て、自分を飾っていく。それでどうやってあれほど独創的なものになるのでしょうか…。
今の私たちは鏡や写真など自分の容姿を見る機会がやたら多い。いやになるくらい。でもなければ日々困る。そういう人間と鏡を見ることのない人間。この両者の心性の違いは一体どのようなものなのでしょうかね。これは結構興味深いテーマだと思うのですが…。
↑ 『ナチュラル・ファッション』 2013, 武者小路実昭訳 DU BOOKS ( 『LES HABITS DE LA NATURE』 by Hans Silvester )より
もうほとんど森や草原の妖精のよう…。