2015年08月09日
駱駝3頭+子駱駝1頭+愛犬1匹+女子1人のオーストラリア砂漠横断のロードムービー。
と聞けばいてもたってもいられなくなり、有楽町スバル座へ観に行ってきました。
邦題は『奇跡の2000マイル』、原題は『 Tracks 』。原題の方がずっとシンプルにこの映画の伝えたかったことを表していると思いました。
鑑賞後にネットの口コミを読みましたが、日本での評価はあまり芳しくなさそう…。
「この旅の意味がわからない」「無謀な若い女の子の冒険で、不必要に動物が殺されていった」という感想もあり、それはそれで理解できました。確かにね…。
どこに行っても自分の居場所はないと思い、若い世代の集まりのなかでも疎外感を感じている女の子が、いっそ思い切って場所を変えてみようと約3000キロの砂漠横断の旅に出ます。住み込みで働きながら駱駝(必要物資の運搬用)の調教を習い、徒歩で約半年かけてインド洋に到達する計画です。華奢な体の女の子が巨大な駱駝たちを連れて、熱砂の砂漠を踏破するのです。
ナショナルジオグラフィック誌の時々の写真撮影が条件で資金提供が成され、数週間おきにカメラマンと落ちあいますが、ほぼ単独での冒険で1970年代の実話です。
観ていて思ったのは、この女の子がこの先、人生を生きていくにはこの冒険が絶対的に必要であった、ということでした。彼女の幼少時の心の傷が大変深いこと、それを乗り越えるには大自然と向きあう生死を賭けた苛酷な冒険が必要であったことが、映画の所々から容易に伝わってきます。
パンフレットがいけないなぁと思います。このての映画になると、すぐに「奇跡」とか「自分探しの旅」などの美辞が並べられるのだけれど、大冒険の途中や目的地に「キラキラした本当の自分」なんかが転がっているわけではないのです。あるとしたら「こういうtracksをつけてきた自分」というものが、新たにその人を作り上げる一つの要素になるのだと思います。
それにしても冒険というものは魅力です。お風呂とトイレの心配がなければいいなあ…。
まあ、これほどの冒険や旅ではなくても、一日や数日の旅でも、意味深い時間にはできるのだと思います。