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よく思うこと。

2015年11月13日

20代の女子達と話をしていると(セッションしかり普段しかり)、「人からどう見られるか」を非常に気にする人が多いように思います。キレイに見られたい。美人に見られたい。可愛い人に見られたいと。まあ、気持ちはよくわかります。でもね、化粧やファッション、整形などに金銭、時間、労力をつぎ込み、教養や人格を磨くことには無頓着なのです。

反対に「(自分が)人をどう見るか」についてはほとんど真摯な態度は見られず、特定の人物をやたら崇めたり嫉妬したり、「他の女子はみんな可愛い」とか「他の人は自分と比べてそんなに悪くない。それほど気にするほどではない」といった返答がきます。一人をやたら高く評価したり、”皆”を強調したところで、二つの見方は所詮同じ穴の狢のようなものです。

つまり他人の悩みなどはどうでもよく、「私の悩み」こそが大きいし、「私」こそが比較された上で人からキレイと言われたい、という気持ちが見え隠れしますが、どうもそこに気付かない人が多い。

誰から評価されたいかというと男性のようで、でもね、それって男頭と同じになるってことですよ。そんなに男性の評価ばかり気にして生きてると大事なものを失うよ、と言いたい。

この前買った宮澤賢治の『ひのきとひなげし』には、その辺りのことがとてもよく描かれていました。ひなげしといえば真っ赤な花畑を想起させますね。大群で風に揺れながら咲く素敵な花たちです。与謝野晶子のコクリコの歌でも有名で、どことなく浪漫を感じさせる花。

賢治の世界のひなげしたちは、薔薇のようなスターに憧れ、美しくなろうとするあまり、悪魔に全てを売ろうとする話です。

明治時代の賢治が、悪魔を美容外科医に化けさせていたり、無一文のひなげしが唯一売れるものに、自ら生成する阿片を設定していたりと(本当は阿片は「けし」から栽培されますが…)、現代に通じる鋭いお話となっています。また最後の最後まで、ひなげしたちは愚かに描かれていて、助けてくれた1本のひのきの樹を馬鹿にして話は終わります…。悩める女子たちに読んでほしい作品です。

『ひのきとひなげし』.JPG

宮澤賢治 作・出久根育 絵(2015)『ひのきとひなげし』  MIKI HOUSE 


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