2016年の本の中から

2016年12月07日

本格的に寒くなってきましたね。お隣の文具店でも恒例の年末セールが始まり、結構賑やかな音が聞こえてきます。それに今日7日は二十四節気の「大雪(たいせつ)」。風邪など引かないように温かくして過ごしたいものです。

さて最近読んだ今年刊行の本について。

ヴィクトール・E・フランクル著赤坂桃子訳『ロゴセラピーのエッセンス 18の基本概念』(2016)新教出版社

フランクルといえば、ナチスの強制収容所体験を記した『夜と霧』の著者として特に有名なので、学生の時に触れたことのある方も多いでしょう。彼はフロイトとアドラーに師事し、独自の「実存分析/ロゴセラピー(ロゴとは‘意味’)」を築き上げ、人間存在の意味や自分の人生の意味の探求に焦点を当てたセラピーを創始しました。この小論はその『夜と霧』の英語版に付録としてあったもので、英語→ドイツ語→日本語の流れで今回初訳となった貴重なものです。

これだけでロゴセラピーを理解できると思ってはいけませんが、心に響いてくる言葉が沢山載っています。そのなかに次のような有名な言葉があります。

ー私の人生の意味はなんですか?と問うのは方向が間違っている。問われているのは他でもない自分であることを理解しなくてはならない。すべての人間が人生から、(あなたの人生の意味を)問われているのである。ー

フランクルは強制収容所体験をする前に既にロゴセラピーについて考えているのです。凄惨な体験が「人生の意味を問うセラピー」を生み出したのではないところも、彼の傑出した非凡さを物語っているといえます。

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ここからは余談になりますが…

最近、若い人たちのなかにはISは知っていても(ISの歴史ではなく、ISの残虐性は、と言った方が正しいでしょうね)、ナチスも強制収容所も知らない人が出てきていて結構驚いています。

今年2016年は、映画界の巨匠アンジェイ・ワイダ監督も90歳で亡くなりました。数年前に彼の晩年の作品である大作『カティンの森』を岩波ホールで観ましたが、第二次世界大戦の負の歴史を扱った、非常に重く苦しい映画でした。その2016年も間もなく終わろうとしています…。

Orchid

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