『君たちはどう生きるか』

2017年11月04日

昨日は文化の日、秋の三連休の半ば、皆様はどのように過ごされているのでしょうか。

さて先日、書籍離れが進むなかで古典的名著が再び注目を集めているという、朝日新聞の社説を読みました。そこには1937年に出版された吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』が漫画になって登場し脚光を浴びている、と書かれていました。

この混迷の時代に、なかなかに感慨深いものがあります。

以前のブログで取り上げたかもしれませんが、本嫌いだった思春期の私が、家の本棚にあったものを何度も繰り返し読んだのがこの岩波文庫でした。

主人公のコペル君(中学生くらい)と叔父さんの対話が底流にあり、社会の構造やものの見方・捉え方というものを主人公が考え悩みながら学んでいく、というものでした。

一番記憶に残っているのは、コペル君が暮らす山の手の子どもたちの生活と下町の子どもたちの暮らしの格差でした。コペル君が下町の友達の家に遊びに行って鯛焼きを出されます。鯛焼きは1937年当時不衛生な食べ物であったようで、コペル君は母親から食べてはいけないと言われていたものでした。彼は複雑な想いを抱きます。「えっ、鯛焼きが?鯛焼きも今川焼も美味しいけど…」と思うかもしれませんが、そこは時代を考えないといけません。山の手の家は、子どもの友達が遊びにやってきて帰す時に、お重を持たせるような文化なのです。今の時代ならバカバカしい限りですが…。

格差の問題は1930年当時も頑としてありましたが、現在もまた益々開きが出てきていると私は見ています。鯛焼きやお重が今の時代ならばそれは何か、そこを考えないといけません。

そういえば、引退・復帰した宮崎駿監督の新作の題が『君たちはどう生きるか』だというニュースもありました。内容は違うようですが、全く関係がないわけではないとのこと。観る時を心待ちにしていようと思います。

『生命樹』奥田實著(2010)新樹社より

 


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