2018年12月21日
今年も残すところわずかとなってまいりました。明日は冬至ですね。そろそろインフルエンザが流行り始めたようですが、皆様、予防接種は受けられましたか。私は先日受けましたが、受けた後の腕が赤く腫れて痒くて痒くてたまりません。
さて、今日はお薦めの本、信田さよ子著『共依存』(2009)、『夫婦の関係を見て子は育つ』(2004)のお話です。『共依存』のほうは奥が深くそれなりに難しいと思いますが、後者の『夫婦の関係を見て子は育つ』は、大体日頃思っていることそのものでしたので、これはどなたにもお薦めしたいものです。
現在、配偶者や子どもがいないから私には関係ないという方も、元は親同士の間で育った子のわけですし、直接親を知らないという方も、自分を子や親の立場だけでなく、「育った環境の大人たちの人間関係はどうだったのか」といった視点から眺めてみることもできるので本書は有益であると思います。
著者は「常識を疑いなさい」ということを繰り返し述べています。巷にはびこる常識を覆し、「“子どもより夫のほうが大事”でよい」、「良妻賢母より、楽妻怠母のすすめ」、「優しい母より楽しい母であれ」、「母は自分の人生を生きなさい」等々。女性への提言ばかりで男性へはないのかと思いますが、結局のところ男性も同じこと。つまり、親と子のタテのラインではなく、まずは夫と妻というヨコのラインを対等でしっかりしたものにする必要があるということです。
これを聞いたり読むだけでアレルギー反応を起こす方もいらっしゃるでしょう。子どもができたら子どもが最優先事項なのだ、優しい母であって何が悪いと。
でもね、子どもにとって、この世に生まれ出て初めての人間関係のお手本は、目の前の「親」なのです。その男女の関係性の質が、男が偉い存在で女が従っている関係だとか、夫婦のどちらかが好き勝手をしていて片方が尻拭いをしているアンバランスな関係だとか、激しい喧嘩やいがみ合いを繰り返していたり、実態は冷め切っていて情緒的交流が薄いのに表向きは体裁を取り繕った関係であったりすると、成人して子どもは親と似たような人間関係を築くようになるものです。または親密な関係を築くこと自体から距離をとるようになります。
人は学んだことからしか事を為し得ないのです(ということは、学び直せるものなのですが)。全くもって自明の理なのに、これが案外、人に伝わらない。夫がキレてテーブルをひっくり返し妻がさっさと片付ける姿や、妻が一生懸命話しかけても夫は二つ返事で応えるという日常を子どもが見れば、男女とはそういうものなのだと学びます。
親たちが対等で楽しい関係を築いていれば、子どもの世界観は「世界は怖いものではなく、生きていくこともパートナーシップも基本は楽しくていいものなのだ」というふうに構築されるのだと思います。
こういうことを書くと、うちの夫婦関係はいびつかもしれないと心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、まあ、完璧な夫婦関係などあり得ないのも事実です。ですから戦々恐々としないで、失敗を恐れずに取り組んでいけばいいのだと考えています。