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『悲しいけど、青空の日』

2020年08月01日

慌ただしかった7月も終わり、8月を迎えました。今朝今年初めてのヒグラシの鳴き声を聞きました。そのままずっ~と寝ていたい、気持ちのいい一時でした。やっと梅雨明け発表もされましたね。

さて、今日は一冊の本を紹介したいと思います。

『悲しいけど、青空の日』(2020)文・絵シュリン・ホーマイヤー著・田野中恭子訳 サウザンブックス です。副題は「親がこころの病気になった子どもたちへ」、精神疾患の母親をもつ学童期の少女モナが主人公のドイツの児童専門書です。専門書といっても小学生であれば読めます。第二章はモナから同じような境遇にいる子どもたちへの語りかけとなっています。

絵がドイツ的(?)で可愛いのはさておき、「精神疾患とは何か」を子どもたちが理解しやすいように、率直に説明されています。親に何かあるなというのはわかっていたけれど、大人になるまで、ある程度大きくなるまで、何の病気かは誰からもちゃんと教えてもらえなかった、という大人たちには実によく出会います。

親に起きていること、家庭の中で起きていることを、子どもにもよくわかるように説明をしてもらえなかったり、大人たちから適切なケアをされないでいると、子どもたちは悲しさ、不安、恐怖、怒り、孤独、生き辛さなどを抱えたままやっとの思いで大人になっていきます。特に日本のような「状況を察しなさい」的な要素が強い文化のなかで育つと、「聞いてはいけない」「そっとしておかなくてはいけない」「外に漏らしてはいけない」ということに繋がっていくと思います。

この本は子どもたち向けばかりではなく、大人たちに、子どもにどうやって伝えたらいいのかを優しく示してくれてもいます。

book『悲しいけど、青空の日』

『悲しいけど、青空の日』親がこころの病気になった子どもたちへ


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