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ブログ 心's LOOM

ストレス対策のための5つの方法

2016年07月27日

気温は低いものの蒸しますね。オフィスで冷房を使っているせいか、このところ喉が痛く…。今夜あたり生姜を沢山摂取して早めに休もうと思います。皆さまも夏風邪などに気を付けてくださいね。

さて、Nスペ、ストレス話の最終章。何より知りたいのは、ストレスと上手く付き合っていく方法だと思います。番組でも一瞬取り上げられていましたが、APA(American Psychological Association、アメリカ心理学会)のサイトのなかの記事 ‘Five tips to help manage stress’ (ストレス対策のための5つの方法)を紹介します。http://www.apa.org/helpcenter/manage-stress.aspx

①Take a break the stressor:ストレスから離れる。たとえストレッサーを除去できないとしても、20分くらいの間断(自己ケア)でも効果有り。
②Exercise:運動する。規則正しい運動が出来なくても、ストレスが高いときに20分くらいのウォーキング、ランニング、水泳などをすれば何時間と効果は続く。
③Smile and laugh:微笑む、笑う。脳は感情と顔の表情に密接に結びついています。
④Get social support:社会的支援を得る。あなたを批判しない、安心・安全な人に話す。
⑤Meditate:瞑想する。マインドフルネス瞑想は新しいものの見方や自己の許しをもたらし、短い瞑想でも効果があります。

なーんだ、そんなことか、と思われるかもしれませんが、これは結構斬新なことを言っているのです。

番組ではコーピングという手法と⑤のマインドフルネスについて力を入れていました。アメリカでは一部の企業(有名なのはgoogle社)、学校、刑務所などでこのマインドフルネスが行われています。マインドフルネスは、扁桃体の肥大を緩和し、海馬の神経細胞を回復させる結果がでています。生育環境に困難さが多かった人は、そうではなかった人より扁桃体が大きく、ストレスに弱いとの報告があります。でも脳は可逆性があり、マインドフルネスは脳に変化をもたらすことができるのだといいます。

私は毎日寝るときと起きるときに横になったまま(横着なので)、実験で10分程度のマインドフルネスを続けています。

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蓮(はちす)の花:夏の花。開くとき本当にポンと音がするのだろうか…。

 

 


mind wandering

2016年07月22日

梅雨明けはいつになるのでしょうか…、雨はもう暫く続きそうですね。
7月19日から土用の入り、夏の土用というのは8月7日の立秋までの約19日間をいうようです。あ~この期間は鰻を沢山食べたいなと思いますが高くてなかなか手が出ません。

さて、先日オンデマンドで観たNHKスペシャル『キラーストレス1,2』について。

ストレスがストレス反応を生み出すメカニズムは次のようになるようです。以前のブログでも言及した脳の中の海馬(記憶と感情の制御)と扁桃体(感情の制御)がここでも重要な部位のようです。こういった体や脳のメカニズムは、今や多少なりとも知っておくべき内容だと思います。

人がストレスを受けたとき、脳の中の扁桃体(恐れや不安といった感情の制御を司る部位)が反応し、その指令が腎臓の上部にある副腎に伝わりストレスホルモンを放出させます。ストレスホルモンが放出されると、心拍があがり、血液が凝固する方向に働きます。また扁桃体の反応は、全身に張り巡らされた自律神経に影響し、血管を締め上げます(血圧上昇)。

こういったストレス反応自体は、危急の場合に人を闘争モードにする必要なものです。山のなかで目の前に突然ツキノワグマ(ヒグマでもよし)が現れたら、基本的に人は闘争モードになる必要があります。(実際は怖じ気づかず逃走モードの方が良さそうですが。気絶したふり?視線を逸らさず静かに後ずさりをする?そうなる前に鈴を付けて山に入りましょう。)

ストレッサー(熊)が消失すると当然ストレス反応もなくなりますが、幾つも過剰なストレスが重なるとストレスホルモンが常に放出され続けます。このような状態がとても危険であり、免疫細胞を働かなくさせたり細菌の暴走を招きます。またストレスは海馬の神経細胞の突起減少を招き、うつ病の引き金になることもマウスの実験でわかっています。海馬の働きというのはうつや認知症の発症に深く関わっているのですよね。

さて、ここがポイントで、ストレッサーは何も実在するものや体験だけではないのです。起きてしまった事をくよくよ反芻したり、未来を不安に思ってばかり暮らしていても、ストレスホルモンが放出し続けます。

こういうのを「マインドワンダリング」(彷徨う心)というのだとか。この言葉は初めて知りましたが、既に森田療法の見地からは昔からよく言われていたと思います。仏教(禅宗)の考え方なのでしょうか。「過去や未来に生きていて、現実、今、ここ、を生きていない」。偉大な人は、脳の働きの詳細が解明されていく前から、人の心の仕組みを理解して言語化しているのですね。そんなことをこの番組から学んでもいました。

続く…。

耕到天、歩到門


Nスペ『キラーストレス』

2016年07月15日

オンデマンドでNHKスペシャル『キラーストレス1,2』を観ました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょうね。

1はストレス反応のメカニズム、2は過剰となったストレス反応に対処していく方法、といった構成でしたが、もう一度観てから(今度は精観?)感想を書きたいと思います。

よく誤解されるのが「ストレスは良くない」といったことですが、そうではありません。何か出来事(ストレッサー)が起きて、それに反応(ストレス反応)するのは人間の本来の機能なのです。ただ過大なストレスやそれに曝され続けるなど条件が重なると、心身を蝕むキラーストレスになります。

続きは後日…

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ルリタマアザミ3兄弟


匂いと脳(記憶と認知)

2016年07月12日

とても興味深い新聞記事があったのでご紹介します(日経夕2016.6.30付)。

嗅覚機能を鍛えることで、認知症やパーキンソン病などの脳の病気を予防したり改善させる研究が日本で動き出しているといいます。

アルツハイマー型認知症の多くは65歳以上に表れますが、原因タンパク質のアミロイドβが脳に溜まり始めるのはその20-30年前からだそうです。つまり35-45歳くらいからアロマオイルなどに親しむといいようなのですが、既に病気の人にとっても改善に効果があるということです。

その仕組みとは…。

アルツハイマーでは最初に嗅覚機能が低下し異臭に気付かなくなる人が多いのだそうですが、これは鼻腔上部の粘膜にある嗅細胞が減ることで、その後に記憶を蓄える働きのある海馬の細胞が障害されるためです。嗅覚の信号は視覚や聴覚などと異なり、直接、大脳辺縁系に入るのが特徴なのだとか。大脳辺縁系の領域には、海馬(記憶に関連)や扁桃体(感情のコントロールに関連)が存在します。

ここからがとても重要な点。嗅細胞は死滅した後も再生しやすい、ということ。どういうことかといえば、毎日新しい嗅細胞が生まれるのですが、生まれて適切な時期に匂い刺激の入力があれば神経回路に組み込まれ、刺激の入力が無ければ死滅するのだそうです。

これらの実験結果から、パーキンソン患者を対象に、アロマテラピーや香りの嗅ぎ分け訓練を取り入れた臨床研究が今夏から行われていくようです。

まず私たちに出来るのは、日々の生活のなかで、香りに意識を向けていくことでしょうか。何も高価なアロマオイルの香りだけでなく、季節のものや日常のお味噌汁の匂いなども楽しんで過ごしていきたいと思いました。

déconstruction

déconstruction

 


『幸せになる勇気』を読む

2016年07月08日

さて、前回のブログで言及した、『幸せになる勇気』岸見一郎・古賀史健著(2016)ダイヤモンド社を興味深く読みました。前作に引き続き哲人と青年の問答形式(対話形式)で進められていくので、大変読みやすく、また面白く、あっという間に読めてしまいます。

かったるいと言えば、この青年の問答がかったるいくらいでしょうか(笑)。『嫌われる勇気』に登場した青年が情熱をもって教師になり、アドラーの教えを安易に理解して「生徒たちを叱らず、褒めもせず」指導していたら学級崩壊を招いてしまい、猛り狂って哲人を責めに来た、という構図になっているのですが、まあ、この青年は自分の頭で考えようとせず、とにかく他責の人です。

「アドラーの教えは高邁な理想に過ぎず実践で役立たない。今すぐ実践で役立つことを教えてほしい」とくってかかるわけですが、こういう光景はよく目にするところです。例えばアドラー以外の本を薦めても「この本は当たり前のことを言っているに過ぎない。実践で役立つことを知りたい」など。自分の理解がどうなのか、問題はないのか、といったことにはどうも目が向かないのかもしれません。

この哲人と青年のエネルギッシュな対話を楽しんでみるのもいいですし、アドラー心理学の教えを自分で考えながらゆっくり学んでいくのもいいと思います。

読んでのお楽しみですが(待合に『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』を置いておきます)、アドラーは、教育の目的は「自立」であり、自立とは「自己中心性からの脱却」であり、自己中心性から脱却するには「愛されることを求めるライフスタイル」ではなく、「愛することのライフスタイル」を送り続けていくことが必要だと説いています。教育の目的というところは、人生の目的という言葉で置き換えてもいいとお思います。

これらの言葉の一つ一つの意味は奥深く、例えば自立は経済的、社会的自立を意味するのではないのでご注意を。

赤と青

 

 


小暑

2016年07月07日

暑さが本格的になるのが小暑ということですが、今日の東京神保町界隈は猛暑でした。36,7度はいったのでしょうか?

お昼休みに三省堂まで歩いたのですが、吸う空気が暑くて暑くて。三省堂の前に辿り着くと地方の風鈴が売られており、しばし見入ってしまいました。音が涼を運んできてくれて心地良いですね。

本日三省堂へ急いだのは、アドラー心理学の研究者である岸見一郎氏の著『嫌われる勇気』の続編『幸せになる勇気』(2016)を手に入れるためです。『嫌われる勇気』は私も読みこの本が有用と思われるクライアントさんたちに薦めてきたのですが、続編はまだ目を通していませんでした。また後日感想を書きたいと思います。

bouquet


ひらがなとカタカナ

2016年07月01日

昨今は身体指向の心理療法も優勢ですが、ほとんどの心理療法は言葉を使っておこなうものなので、言葉というものには一応、細心の注意を払いたいと思っています。ある人が「ある一つの言葉」を使っても、その言葉に喚起されるイメージや連想、考えなどは人それぞれに異なるので、その差異も含めたうえで、言葉に対する感覚を磨いていくことは大事だと思います。

例えば私の周囲では、配偶者のことを「主人」と呼べる人と呼べない人に如実に分かれるのですが、この差異を考えてみるのも興味深いことと思います。そんなの人の勝手じゃん!と言ってしまったら、何でも話はそこまでなのです。

さて、今日面白かった新聞記事に「隠語化される差別 カタカナの特性」というものがありました。小中学生の間で「ガイジ」(障碍児の一部)という言葉によるいじめがあって(信じられませんが元は保育科の女子学生の間で広まったという説もあります)、この言葉がいかに人を傷つけるか教育啓蒙するにあたり、ガイジを「がいじ」とひらがな書きにして冊子を作っている自治体があることから、言葉による差別について取材している記事でした。(本来、人を傷つけるか否かより、こういう仲間内にしか通用しない侮蔑的な隠語を使ってしまう知性の方が恥ずかしいことだと思うのですが。)

カタカナは一般に硬く刺々しい印象を与え、ひらがなはまだマイルドなので、冊子にはひらがなを起用しているとの自治体の説明を記者は紹介していました。

私もこれを書くにあたり、現在よく言われている、障害を障がいと表記するか旧字の障碍にするかで迷いました。迷った挙げ句に旧字にします。アメリカで障がい児の発達支援研究をしている日本人の先生はいち早く「障がい児」と使っていましたが、害をがいにしても障もさわるという意味がありますし、言葉の使い方だけではなく現在ある問題自体に向きあうことを等閑にしてはいけないと思うからです。

されど言葉。難しいですね。

ひらがなの多用は語感がマイルドで人に優しく響く反面、語彙の平板化、ひいては思考の劣化を招くようにも思います。

ガーベラ


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