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ブログ 心's LOOM

2021年もありがとうございました。

2021年12月25日

今朝起きてAmazon Alexaに声を掛けたらクリスマスソングを歌ってくれました。

昨日の帰りは神保町交差点付近でベートーベンの第九「歓喜の歌」が大音量で流れていましたが、誰かのいたずらかと思いそそくさと帰ってきてしまいました。今日知りましたが、岩波神保町ビル前広場で行われる毎年恒例の「クリスマスキャロルの夕べ」だったようです。ああ…、残念でした。

生の歌や音楽からも、人々の大きな集まりからも遠ざかったこの2年間でした。その分、勉強会も学会もオンラインばかりになり充足不足色々に感じることが多々ありましたが、この先もしばらくこのような生活が続きそうですね。元に戻ることもあれば確実に変化することもあるのでしょう。

近年はコロナや他の面から安全第一を考慮し予約枠を限定して対応してきましたが、一つ一つのセッションから、心理療法家としてまた一人の人間として沢山のことを教わり学ばせていただきました。心より感謝申し上げます。

来年もオンラインは勿論のこと、面接室でのセッションが継続できますよう、引き続き精進していきたいと願っております。

 

湯たんぽベア

 

 


心理カウンセリングとはなにか

2021年12月19日

心理カウンセリングとはなにか、ということを改めてお伝えしていく必要があるとここのところ考えていました。ブログではつらつらと取り上げることにして、いずれウェブ上の固定ページを書き換えたいと思っています。

心理カウンセリングとは、簡単に言えば「自己理解を深めながら、自分の行動(そこにはコミュニケーションも含まれる)を変えていくこと」だと捉えています。また、「自分」とは常に他者との関係性において立ち現れてくるものなので、当然、他者との関係性が扱われることになります。他者には家族、友人、知人、恋人、集団社会などが挙げられます。

カウンセリングでしばしばみられることに、「問題や症状のある誰かを変えてほしい、治してほしい」という主訴で来られる方が結構いらっしゃることです。あるいはそこまで明言しなくても、「問題ある人と関わる方法を知りたい」という訴えがあります。

後者ならまだしも、「セラピーの場にいない人(他者)を変える、治す」ということは不可能なことです。治療で可能なのは、あくまでも自分自身です。その問題や症状のある他者と関わっていく、自分自身の長年の考え方や対人関係の特徴、来し方行く末の身の振り方などを探っていくのが、サイコセラピーの本領なのです。

 

 


スペクトラムでとらえる

2021年11月28日

価値観や世界観を変えることは結構難しいことだなといつも思うのですが、皆さんはどうでしょうか。

生まれてから育った環境で形成されたものの影響は強固な岩盤のように思えてなりませんが、もしかしたらコペルニクス的転回を迫るものとして近年の性の多様性の問題があるのかな…と最近よく考えています。

性の多様性について理解している人もそうではない人も、性差(ジェンダー、セックス)について学べる番組がつい最近ありました。それはNHKスペシャルの「ジェンダーサイエンス、男×女、性差の真実」です。観られなかった方は見逃し配信やサイトのダイジェスト版を読むことができます。

体の性差や脳の性差の仕組みや真実について科学的に知ると、今や身近に見聞きするようになった性の多様性についての理解が進んでいきます。ああ、そういうことだったのね、そういうことが起きていたのね…と目から鱗が落ちるとはこのことでした。

番組によると、脳の性差については男脳か女脳か明確に区別できる人は10%くらいの少数派で、90%は「男女モザイク能」だということでした。大半の人は、両性的か中性的、それもグラデーションは人それぞれなのです。

自分の脳がどのようなモザイク脳なのか知りたいと思いませんか。番組サイトには、イスラエルの先生の研究の一環で来年3月に質問紙テストが受けられると載っていました。自分のメールアドレスを登録しておけばそこに送られてくるようです。(受けられる方は、サイトを良くお読みになり御自身の判断と責任が必要になります。念のため)

 

 

 


「痛覚変調性疼痛」って?

2021年11月04日

ブログ更新が等閑になっていました。コロナが落ち着いてきたので気持ちが軽くなり、少しずつですが出掛けたり人に会えるようになってきましたね。

それでも12月末から第6波到来と報じられており、何だかうちのメダカの様な気分になってきました。今のうちに水槽の上の方に上がって空気をぱくぱく吸い、餌を食べ、英気を養ってコロナ再到来に備えておきたいと思います。

さて、今日は興味深いニュースを読んだのでシェアします。

体の痛みについて、組織や神経の損傷などが無く生じるものを「痛覚変調性疼痛」と名付けられたというものです。痛覚変調性疼痛には、心理臨床においてもお馴染みの過敏性腸症候群や線維筋痛症、腰や骨盤、膀胱の痛みなどが主にあげられます。また、睡眠障害も併発しやすいとのことですが、痛みがあれば睡眠に支障をきたすのも想像に難くないですよね。

今までは「心因性」「心の問題」と扱われてきた痛みが、実は「脳の神経回路の変化」によるものと最近の研究で分かってきたそうです。

具体的にどこの神経回路が影響しているかがわかれば、薬の開発も期待できるとのことでした。では、この脳の変化を引き起こすのは一体何なのか。それはストレスや心理的影響とのことでした。

何だか頭が混乱してきますね。「心の問題→体の痛み」と思われていたものが、「心の問題→脳の神経回路の変化→体の痛み」であると判明した、ということなのでしょう。なんだ、結局は心理的問題じゃない、ということになって堂々巡りになりそうですが…。

生命ある限りゼロにはならないストレスや心理的影響とどうやって上手く付き合っていくのか。正に大事なのはここですよね。精神医療では薬で脳に働きかけて治し、一方、心理臨床では薬ではなく、心理療法や生活改善、環境改善などで対応していく。どちらのアプローチも欠かせないだろうと、考えさせられた記事でした。

紅葉と池


臨場性について

2021年10月06日

緊急事態宣言が解除され、街が徐々に解放的になっていくのが感じられますね。

面接もほぼ対面に戻りつつあるものの、時々オンラインがあるとなぜか少しほっとします。オンラインは時間が来て接続を切ればそこで終わるので、時間の余裕が生まれるからなのでしょうか…。どうもそれだけではないようで、この感覚は一体なんなのだろうと思っていた矢先、精神科医の斎藤環先生の論考や記事に出会いました。

私が感じていたことに合点がいきました。それは「臨場性は暴力である」ということで、人と人が身体をもって直接相対することは、それだけで暴力性を帯びるということだったように思います。暴力といっても単純な意味での物理的精神的な暴力ではなくて、たとえどんなに優しい関係であったとしても、そこには「他者に対する力の行使」「不可避の侵襲」が生じるということでした。

この臨場性の暴力は善悪で語れるものではなくて、人々の欲望を賦活し、関係性を育むのだと言います。コミュニケーション(情報の伝達)はオンラインで可能ですが、関係性の構築はオンラインでは不可能なので、コロナ後の世界は全てがオンラインになることもないし、また全てがリアルな対面に戻ることもないのです。

先週末は海外の先生とオンライン研修がありました。講師のジェットラグも渡航滞在費も無く、また参加者も研修費のみで全国から参加できる利点があり、これならばオンラインで十分なのではないかと改めて思いました。とはいえ深い学びができるのかというと私はそうでもないようで、これからの社会はオン・オフライン併存、柔軟に選択できるようになるといいですよね。

a white foxdahlia

 


パラを楽しむ

2021年09月04日

明日はパラリンピックの閉会式です。東京の交通もまた通常のように戻るのでしょう。オリンピック、パラリンピック期間は、駅やホームに警察官が沢山いましたね。2-3メートル間隔で見かけたので、安心な面と却って物騒な感じがして、今が通常時ではないのだと度々気付かされました。

オリンピックは観なかったのですが、今回パラリンピックはよく目が行くようになりました。伴走者やアシスタントと組んで参加する競技や障碍の種類や等級に応じてルールに様々な工夫が施されたりする競技など、その仕組みに感心、感歎するところが多々あって引き付けられました。パラリンピックが対象とする障碍は肢体不自由(欠損、麻痺)、脳性麻痺、視覚障碍、知的障碍とのことでしたが、皆さん、御存知でしたか?私はそれさえも知らずにいました。

身体障碍者の人のなかには、「パラが “たとえ障碍があっても前向きに努力すれば打ち勝てる” というメッセージになるとすれば、とても生き辛い」と感じる人が少なからずいるようです。確かにそうですね。障碍に限らず、「困難があっても必ずそれを乗り越えられる、あなた次第なのだ」という価値観が社会に溢れれば、それは励ましではなく、大きな重荷になるでしょう。

障碍や困難があってもどうにか生きていける、自分のペースでスポーツやゲームを楽しむことができる、生活を楽しむ余地がある、人は支え合って生きていける、そんなに過剰に頑張らなくてもいいほどほどの社会になっていくように、次期選挙の一票を投じたいなと思いました。

fishing cat


夏のホームワークに

2021年08月12日

毎日毎日、マスクも手伝って非常に暑いです。こう蒸し暑いとイライラしたり、動くのも億劫になったり、頭もボ~っとしがちですね。そんな不快な時季の過ごし方として、一ついいものを見つけました。それは、これ↓

エクササイズをしたり、書き込んだりするワークブックです。セルフ・コンパッションとは、自分自身へ向ける優しさ、思いやり、理解といったものです。24章からなっているので、一日1-2章ずつ進めてみると、ひと夏に程よい分量の宿題をやったような気分になると思います。各1章が平明なので、またワークブックの趣旨からして優しく素直な気持ちになることができます。私もまだ第4章のところですが、心理的物理的な負担が少ないです。

このところよく考えるのが、仏教でいわれる「慈悲」という言葉、態度についてです。お盆も近いので尚更考えますが、このワークブックのなかにも慈悲(バーリ語でmetta,「友愛」の意も)が取り上げられています。慈悲とは「すべての人間が幸せでありますように、という願い」なのだそうです。

慈悲は上から目線の同情などではなく、友愛という意味からも、私とあなたが同じ地平に存在し互いの幸せを願うという、何か横に広がっていくものをイメージさせます。

 

 


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