米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-4TR)によると、うつ(鬱)は気分障害のなかに分類され、その程度(重症度)、症状の持続期間などによって診断は幾つかに分かれます。大体、うつ(鬱)の症状としては以下のことがあげられます。
①ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分
※小児や青年はいらだたしさとなって表れるときもある。
②ほとんど全ての活動における興味・喜びの著しい減退
③著しい体重減少または体重増加、ほとんど毎日の食欲の減退または増加
④ほとんど毎日の不眠、または睡眠過多
⑤精神運動性の焦燥、または制止
⑥疲れやすさ、または気力の減退
⑦不適切な無価値感、罪責感
⑧思考力・集中力の減退、または決断困難
⑨絶望感、死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図、計画など
これらのうち幾つかに該当し、病前の機能の著しい変化が見られ、他の疾患では現在の病状を上手く説明できない、などの要件に適すると、うつ病性障害の可能性があります。またうつに伴い、パニック発作や身体的愁訴(頭痛、関節痛、腰痛、腹痛etc.)などを示す場合もあります。
うつ病は生物学的原因と心理社会的原因が考えられ、しばしば心理社会的ストレスに続いて起こると言われています。心理社会的ストレスは人によって様々ですが、例えば、愛する人との離別、別居、離婚、学校や職場などでの過労、引っ越し、などがきっかけになります。ストレスはマイナスなことばかりでなく、出産や結婚、昇進など傍から見ておめでたいことでもストレッサーになるので注意が必要です。
治療方法は薬物療法と精神療法を併用すると効果が高いと言われており、精神療法では認知療法、行動療法、対人関係療法、精神分析的精神療法などが有効とされています。特に認知療法では「考え方や認知のクセが負の感情を引き起こす」とし、自分の考え方のクセに気付いて修正していく作業をします。辛い出来事に遭遇して負の感情(虚しい、辛い、悲しいetc.)が生まれ、その感情が認知のクセ(自分は人から好かれない、何をやっても失敗するetc.)を生むのではなく、認知の歪みがあるから負の感情が生じるという、これは画期的な考え方です。物事や出来事のとらえ方、理解の仕方には誰にでもその人なりのクセや特徴があります。その歪みや偏りを知り、とらえ方の幅を柔軟にしていくと、人は楽になることができます。
うつ(鬱)は必ず治る疾患です。神保町カウンセリングルームでは、うつ(鬱)やその他の気分障害に有効な心理療法を提供しております。お一人で抱え込まずに、まずはカウンセラー(セラピスト)に今のお気持ちをご相談ください。