1. 心理 東京
  2. ブログ 心's LOOM

ブログ 心's LOOM

春の陽気の下

2021年03月28日

久しぶりに神保町の三省堂本店までぷらぷら歩いてみました。臨床心理学・精神療法コーナーのチェックをしに行ったのですが、書棚の前に立ち全体を眺めてみると、アナログ時計の文字盤を眺めているような気がしてきて落ち着きます。

ネットで書籍を買うのはラクで便利だけれど、ヒットする情報は検索した範囲の周辺に限られるので非常に偏ります。大型書店で本を選ぶ良さは、今どのようなものが刊行されているのかおよその全体像がわかるのと、著者や内容だけではなく装丁やイラストも実際手に取って確かめられるところです。

服などショッピングはだいぶネット派になりましたが、たまにはイメージの世界を脱し、現実の手応えのある世界を訪れることを忘れないようにしたいものです。

カウンセリングに来られて本好きの方は、一度は神保町の書店街を歩いてみてください。相談室から見て神保町交差点の向かい側とその裏通り(すずらん通り)がメインになります。楽しい文房具店もあるし、疲れたら老舗のカフェやカレー屋さんも沢山あります。世界でも例のない書店、古書店街なのだそうですよ。

 

海棠

花桃


読書の春

2021年03月19日

春のせいか夜中にふと目覚めることが度々あって、そんなときはスマートフォンで読書をします。10-20分でまた眠りにつくので暇潰しに丁度いいのです。でも不眠症の方は真似をしないでください。スマホのライトは脳を覚醒させてしまい余計眠れなくなります。

最近読んだのは、岸見一郎著(2018)『愛とためらいの哲学』。岸見先生と言えば、哲学とアドラー心理学の研究者で『嫌われる勇気』、『幸せになる勇気』の本が有名ですね。『愛とためらいの哲学』は恋愛やパートナー関係に悩んでいる人には考察の一つとして面白いかもしれません。

アドラーはトラウマや過去を重要視しないのですよね。過去を変えることはできないし、同じ親に同じ環境で育てられた子どもたちの性格や考え方が違うことからも、生育環境を要因とする見方を好まないようです。確かに過去の出来事に信念体系は影響を受けるけれども、その信念は「自分が選び取ったもの」という見方をします。信念とは例えば、「結局は私は人から見捨てられる」といったような自分や他人や世界に対する価値観を伴う考え方です。「選び取っている」という主体性が入るようです。

ですので、恋愛(人)を遠ざけたり、恋愛関係が上手くいかない人は、自分の信念を変えていく必要があるといいます。「いい人がいない」「出会いが無い」「自分はあがり症だから」「自分は毒親に育てられたから」などといったものは“言い訳”として一蹴されるようで、信念を変えていくことが重要なのです。自分で選んだものなのだから、また選び直せるのです。(因みに「信念を変える」というのは色々な心理療法の目指すところで共通していますね。)

一理はあると思います。ただ、疑問に思うのは、同じ親に同じ環境で育った人たちがそれぞれ違う性格や人格だからといって、環境はあまり関係ないと言ってしまうのも大雑把な帰結のような気がします。同じ家にいるからといって、果たして同じ環境といえるのか。親の接し方は子どもそれぞれ違いますし、子どもの生まれた順位でも環境は自ずと違ってくるし、その時々家庭で生じた出来事によっても子どもの世界観は変わってきそうです。

自分の子ども時代を振り返っても、大人たちが自分の好きな子どもに接するときの目や顔の輝きと、そうでもない子に接するときの目や顔の様子加減などの微妙な差を、かなり敏感に感じ取っていたように思います。「そこであなたはある信念を選び取ったのだ」と言われても、卵か先か鶏が先かのような議論に思うのですが…。更には、もっと深刻な虐待のようなものでも、私たちはそれぞれ自分の信念を選び取ると言えるのか。言っていいものなのか…。こんなことをあれこれ考えながら読んでみるのもいいかもしれません。

 

 


対話

2021年03月06日

久しぶりに精神科医の斎藤先生の本を読んでみました。半世紀以上に渡る臨床活動から紡ぎ出されたアンソロジーです。

様々な症状のある人、家族関係に悩む人、どうやって生きていったらいいのか人生との付き合い方に迷う人、“自己”が大きすぎて生き辛さを抱える人など、今を生きる全ての人に向けられた温かいメッセージです。『すべての罪悪感は無用です』(2019、扶桑社)、優しく書かれているので肩の力を抜いて読めます。

春の宵にでもどうぞ…。

 

 


バイタルを把握する

2021年02月26日

まだまだ寒いですが暖かな日も増えてきました。この時季は年度替わりで確定申告など雑務が増えますね。確定申告は初めてonline上から申告しましたが、英語のイディオムで there were  a lot of red tape というのが確かあったような、何だかとてもそのような印象でストレスフルなものでした。

さて、最近スマートウォッチの方が増えてきて心拍を図ったりしているようですが、これはなかなかいいバイオフィードバック(生体自己制御)ですよね。様々な状態の時に測定してみて、数値の高いときは呼吸法を取り入れてみるようにしましょう。

私はスマートウォッチではないのですが、朝晩パルスオキシメーターで酸素飽和度と脈拍を計っています。大体どちらも90後半です。脈の正常範囲は60~80ですよね。頻脈ではないかとかかりつけ医に尋ねると、その人の平均値をとってみて逸脱していなければ平気なのだそうです。そのドクターは何と40台なのだとか!?耳を疑い、一体どういう心臓をしているのかと思っていたところ…。

先日、ブラッド・ピット主演の映画『アド・アストラ』というものを観ました。ブラピが月、火星、海王星などへ飛び回るSFなのですが、苛酷な任務の随所で心理質問検査と脈拍or心拍を計測させられます。その時の数値が40台。超人ではあるものの、あり得ない数値ではないことが判明しました。

だらだら書いてしまいましたが、つまり自分のバイタルの平均を知っておくことが大事なのでしょうね。

 

It’s calla.

 

 

 

 


オンラインカウンセリングについて

2021年02月07日

緊急事態宣言が一ヶ月延長されました。東京の感染者数は減りつつありオンラインカウンセリングも減ってくるかと予想していたのですが、意外にもあまり減っていません。これは私の相談室だけでなく他では増えているところもあるようなので、段々私たちの意識や生活スタイルが変化してきたのかもしれません。

オンラインで行うことは最初は制約だらけなのかと思っていましたが(確かにそれはありますが)、一つ、これはいいかもしれないと思ったことをシェアしたいと思います。

それはマスクをせずに行えるということです。(対人恐怖などの症状があってマスクがある方が安心するという方もいらっしゃいます。その場合はマスクをしたまま行います。)

一年以上もマスク社会になって、最近至るところで店員さんの対応が不愛想で怖いなあ…と思うことが度々あります。声もマスクやビニールシートに遮られてよく聞こえないので、それも手伝っているのでしょう。同様にこちらの声が届かないこともありますし、またこちらの表情も不愛想に映っているかもしれません。

欧米でマスクをしたがらない人が多いのは、顔が隠されて表情が読めず怖いからだという記事を読んだことがあります。欧米人は口元で相手の表情を読み取り、日本人は相手の目で主に表情を読み取る傾向があるそうです。

とはいえ戸外に出れば顔の半分が隠されている状況が続くと、主に目だけで表情を読み取るのは結構至難の業だなとヒシヒシと感じていました。互いの表情が伝わらないばかりか、顔を記憶するということにも確実に影響を与えると思います。

保育園や幼稚園で働く人たちが、大人がマスクをし続けていることが、子どもたちの成長にどのような影響があるのかとても心配だと言っていたことも強く印象に残ります。

オンラインは味気ないものだという意見はありますが、お互いの顔を何となく見ることができる安心感は、現在の対面式よりもずっと高いものではないかと思っています。

 

What is this?


いつもと違うことをする

2021年01月31日

明日から2月になりますね。この状態はいつまで続くのでしょうか…。生活や社会に与える影響を考えると不安になったり苦しくなったりします。一方心のどこかに、あまり人に会わなくて済むところがラクだなあ…と思う面もあったりします。

これも行動変容の一つなのかもしれませんが、最近読書をキンドルでするようになりました。実は昨年アマゾンで読みたい文献をポチっと押したときに、紙の書籍を選んだつもりがキンドル版で、しかもキャンセルできないことがわかり非常に悔しい思いをしていたのです。誰かにあげたくてもあげられないし、無用の長物だなと。

キンドルは電子書籍リーダーがないと読めないものだとずっと思っていたのですが、何てことはない、PCやスマホで読めるのですよね。昔、機械を買った人はどう思っているのでしょう…。今や大抵のことはスマホでできるので、何事も食わず嫌いはやめて一度は虚心坦懐に事に臨もうと思った次第です。

キンドルの良さは、毎日の鞄の重量が格段に減ること、ベッドで読んでも腕が辛くないこと、わからない箇所をその場で検索出来たりメモが出来たりと各種機能が揃っているところですね。今の人は辞書を片手に読まなくて済むのですから、時間が短縮できて実に羨ましい!そうはいっても紙の書籍の方が断然読後感があるのですが。

さて、初めてキンドルで読んでいるのは、ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳『サピエンス全史』文明の構造と人類の幸福(河出書房新社、2016)です。ユヴァル・ノア・ハラリ氏はヘブライ大学の歴史学の教授です。世界的なベストセラーなので御存知かもしれませんが、とても興味深くてぐいぐい引き込まれます。

コロナ禍の現在、ウイルスと人類がこれほどまでに近い存在になったことも大局的に歴史の流れを知るとより理解が深まります。何より、我々ホモ・サピエンスは相当恐ろしい生き物なのだと思い知らされます。これからの時代を生きていく人たちは読んでおくといい一冊でしょう。

ゆく川の流れ

 


新年を迎えました。

2021年01月07日

新しい年になりました。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

とはいえ、ここ連日、東京の感染者は鰻登りに増えています。

相談室は開室していますが、前回の時以上に、マスク着用、手指消毒をお願い致します。引き続き、ソーシャルディスタンスを守り、常時2-3cm窓を開けてのセッションになります。マスクに関しましては、お手持ちのものが布マスクの場合は、相談室にある不織布マスクを御利用ください。また6時半以降の臨時枠は今は受けていませんのでご了承ください。

心配な方はオンラインセッションに変更できますので、PC環境を整えていただくか、お手持ちのスマートフォンを固定して上半身がゆったりと映るように設定してください。この辺りは皆さんいろいろ工夫をされていて、車の中でスマホを固定して(そういう器具があるのでしょうか)参加されたり、本を積み上げて固定したり、こちらもとても勉強になります。

出来るだけの対策はして少しでも早く罹患者数が抑えられるように手を尽くしましょう。穏やかで平和な春が訪れますように。

 

さくら

 

 


このページの先頭へ