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ブログ 心's LOOM

昭和の日、メーデー、憲法記念日、みどりの日、子どもの日…

2017年04月30日

新緑の眩しい季節となってきました。
明日から5月。ゴールデンウイークってどんな祝日の集まりだったかしらと調べ、忘れないように題にしました。

この長いお休みを鬱陶しく思っている人、ほとんどお休みのない人、やることのない人etc. こんな時に読んでみては?と思えるような本を最近仕入れましたので簡単にご紹介します。仕入れたといっても、まあいつものようにクライアントさんが読まれた本を私も読んでみただけなのですが。

河合隼雄先生の『家族関係を考える』(1980)講談社現代新書で、1979年から1980年に書かれた論考をまとめたものです。「現代の日本の家族(西洋型ではない)とは一体どういうものなのか」「これからの家族の有り様とは」といったことが、日本型家族の変遷や本質に関する考察を踏まえながら、興味深く著されています。

夫婦の関係、親子の関係などに考えるところのある人は、自分を振り返ることに役立つしとても面白いと思います。家族関係にこうすればよいという特効薬などはありませんが、闇夜のなかの灯台のように感じられました。

またこれを読んでいくと、昭和とか、平和や社会とか、子ども、といったことに自然と繋がっていき、思考の裾野が広がっていきます。

現在は2017年。1979,80年代の家族やそれを取り巻く社会と比較しながら、更にどのような変化があるのかないのか、想像や思考の旅に出てみるのも一興ではないでしょうか…。



権力欲とは何か

2017年04月16日

4月も半ばに入りましたね。朝晩も冷え込むことが薄れ、今朝は窓を開けて鳥の囀りを聞きながら朝食をとりました。処処啼鳥を聞く…、ささやかながら春を感じて幸せな気分になります。

さて、今日は以前取り上げた書籍『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中井久夫著)のなかに出てきた「権力欲」ということについて、少し考えてみたいと思います。

人には睡眠欲、食欲、情欲のほかに、「他人を支配したい」という権力欲があり、この権力欲は他の欲と比較にならないほど多くの人々を巻き込むと述べられています。権力欲というより支配欲といったほうが私としては分かりやすいのですが、このあたりの事情は先生の他の文献を読む必要がありそうです。

また、暴力によってかろうじて維持される権力は、(権力として存続することが)危ういものであり、一度暴力で震え上がらせて、それ以降はいつでも暴力をふるえるぞということを示し、後は「自発的に隷従させる」ようにするのが権力側の人々の理想なのだと説いています。何とも巧妙というか怖い構造ですが、こういったことは古今東西の学者たちが時々に指摘している大変重要なことです。

中井先生はいじめ問題を軸に言及していますが、これは家、職場、地域、国といった組織においても同じことだと思います。

例えば家。家庭や家族というものは安らぎを与え楽しくて心地よいものだと思いたいものですが(それも事実ですが)、いやいや家のなかというものは実は怖いところでもあるのです。心理カウンセリングを受ける人というのはこの辺りの感覚が結構鋭敏で、家族間の葛藤を抱えて訪れる場合も多いですよね。

権力欲の究極的な発露である暴力や虐待というものが顕著に見られない家庭でも、例えば、なぜか父親(母親)が一番偉そうに振る舞っている。お金を稼いでくる人が一番偉いとされている。母親(父親)は弱々しいか愚痴っぽいかヒステリックに喚くことが多いので、家族はいつもその人を気遣って生活している。親の子どもに対する干渉が激しくそれを愛情とはき違えている、などといった支配の形は沢山見られます。

また父母に代わって祖父母や子どもが支配的な家もありますし、家族固有の価値観が強固に支配している家もあります。複雑で巧妙な力関係が相互に働いているので、もしかしたら家族の誰かが知らず知らず自分を押し殺しているかもしれないし、自発的に無意識に服従していることも多いと思います。家族の関係性が対等でfairでお互いが尊重し合っているというのが理想なわけですが、力の不均衡が生じやすいのが家族であり、その不均衡は家族のなかの一番弱いところへ影響を及ぼすのです。一本の樹に力がかかって、一番細い枝から折れるようなものです。

昨今騒がれている、親を敬うべし、兄弟仲良くすべし、夫婦睦まじくすべし…などというのは至極当然のことであって、そうではないことの方が多く、それを教条的に教えたところでどうこうなるものではありません。それに道徳的なことまで上から押しつけらて、ああ良いこと言っているなあと素直に取り込むのではなく、自分の頭で考えて模索しながら行動することの方が大切ではないでしょうか。おいそれと簡単に答えを出すものではありませんし、自分の頭を鍛えて多角的に考える、真摯に他者の意見に耳を傾ける、こういった力を身に付けることこそが、権力欲の構造から人を救う術になっていくのではないか…と考えています。

さくら


今年の…

2017年04月13日

今年の桜。
来年も同じ樹の下に行ってみれば再び会えますが、一期一会です。

sakura2017

sakura2017

 


足元には…

2017年04月06日

やっと暖かくなってきました。
地元の桜の花もやっと二分咲きくらいに…。

でも足元にはこんな花も。上ばかり見ないで下も見ると、発見が沢山のこの頃です。

野のスミレ


子どもたち、大人たちへの贈り物

2017年03月31日

弥生の月も今日で終わりです。東京のソメイヨシノは来週が見頃でしょうか。専大前には山桜の樹が1本あるのですが、既に葉桜になっていました。

さて、先日手に入れた本について今日は紹介したいと思います。それは 中井久夫著『いじめのある世界に生きる君たちへ』(2016)中央公論社 です。

中井久夫先生は精神科医で、精神療法家であれば直接教えを受けていなくとも多大な恩恵に浴している学者だと思います。大変失礼ながら私は古典の世界の人かと思っていたのですが、御存命で現在80代のようですね。

上記の本は『いじめの政治学』という小論を元にして、小学校高学年の子にもわかるように噛み砕いて書かれたものです。優しく繊細ないわさきちひろの挿絵も魅力で、大人であれば小一時間くらいで読めてしまいます。

何がいじめであるか、いじめのワナのような構造について、加害者の権力欲について、いじめの三段階(孤立化、無力化、透明化)について、いじめは被害者を隷属化し尊厳を奪う犯罪であること、などが丁寧に易しく説かれています。やられてやり返すというような、立場がクルクル逆転するものはいじめではないのです。従って「時にはいじめも子どもの世界に必要」「いじめられる側にも落ち度がある」という安易な意見は通らなくなります。

すぐに理解できたような気になって、その実一回読んだだけではするりと腕の中から抜け落ちてしまう。でも読み返すと非常に重要なことが書かれていてじわじわと響いてくる。いじめられている子どもしかり、まずは大人たちが読むべきものだと思います。なぜなら、大人の世界にも、というより大人の世界にこそ、夫婦、嫁姑、親子、組織の人間関係など権力欲に基づく関係が蔓延しており、子どもは大人の世界を見て育つからです。待合のところに置いておきますので興味のある方はどうぞ。


 


神保町~街角から~

2017年03月25日

また最近の本事情のお話。

昨夜、ある心理系の本を求めて三省堂へ足を運びました。
Amazonで検索したら何と600円も高いのです。新刊書ですよ。古書ではないのです。書店に行けば定価で買えるし送料もかからないのに…。それに何せここ、神保町は本の街、世界に例を見ない古書の街なのですから。でも、ねぇ…。

まずは三省堂店内の端末で在庫検索。「在庫在り」。ところが書架には見当たらず…。日本の碩学である先生の本が、昨年末出たばかりの本がない。検索結果には「在庫在りとなっていても実際には無いこともあります」とのこと。それでは意味がないではないか。たった今誰かがその本を手にとってレジに向かっている風な、時間差の問題でもない気がしたのでスタッフに聞いてみたら、同じように探してくれ、でもやはり無くて、取り寄せに10日間かかるとのことでした。ハァ…。

そんなに待てないので、今度は書泉グランデに行ってみました。書泉グランデも神保町のなかでは大きな書店です。でも行ってびっくり。心理のコーナーが無い。あるといえばあるけれど怪しい心理?の書籍がほとんど。本当に日本の人文系の知はどんどん廃れていくなあ…と改めて淋しくなりました。

それでも書泉グランデのスタッフに問い合わせると、版元も在庫薄のなか他店舗にあったものを4日間で取り寄せてくれることになりました。売れるか売れないかわからないので、どの書店も在庫を多く抱えないようにしているのでしょうね。Amazonの出店者はそこを知っていて値を上げているのでしょうか。

本離れも激しいけれど、アカデミックな場などで地道に研鑽を積んできた人のものより、テレビに出ている自称某のものが多く店頭に並べられている昨今。もうそろそろいい加減そういうのなくならないでしょうか…。

 

mimosa

tree in the mimosa wreath


春…

2017年03月18日

気付けば今日から連休のようで、東京駅は思うように歩けないほど混んでいて大変くたびれます。春になると随分暫くぶりのクライアントさんの来室もあり、こういうことにも季節というものを感じますね。春は移動など色々変化の多い季節ですものね。

20日の月曜日は春分の日。春分の日は「自然を称え、生物を慈しむ」目的で制定されたそうです。昼と夜の長さが同じになるのかと思っていましたが、実際は昼の長さが10数分ほど長いのだそうです。計算してみたら12分長かったのですが合っているでしょうか。

生物を慈しむ…。であるならば、人も、動物も、植物も…。10数分長い陽の光を楽しみましょう。

根

クリサンセマムの根

↑うっすらとわかりますか?
鉢植えの白いマーガレット様の花を切って瓶に入れていたら、根が生えてきました。ひげのような可愛らしい根。これをまた土に移植しようと思います。

 

 

 


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