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ブログ 心's LOOM

春…

2017年03月18日

気付けば今日から連休のようで、東京駅は思うように歩けないほど混んでいて大変くたびれます。春になると随分暫くぶりのクライアントさんの来室もあり、こういうことにも季節というものを感じますね。春は移動など色々変化の多い季節ですものね。

20日の月曜日は春分の日。春分の日は「自然を称え、生物を慈しむ」目的で制定されたそうです。昼と夜の長さが同じになるのかと思っていましたが、実際は昼の長さが10数分ほど長いのだそうです。計算してみたら12分長かったのですが合っているでしょうか。

生物を慈しむ…。であるならば、人も、動物も、植物も…。10数分長い陽の光を楽しみましょう。

根

クリサンセマムの根

↑うっすらとわかりますか?
鉢植えの白いマーガレット様の花を切って瓶に入れていたら、根が生えてきました。ひげのような可愛らしい根。これをまた土に移植しようと思います。

 

 

 


『この世界の片隅に』

2017年03月09日

観たかった『この世界の片隅に』を観てきました。『君の名は』を抑えて某アニメ作品賞を受賞したのは納得がいきました。

昨日は国際女性デー。ああ、この作品も、一つには女性がテーマなんだな…としみじみ思いました。

舞台は戦時中の広島市や日本最大の軍港呉市で、呉に嫁いできた主人公すずを中心に、健気に生きる市井の人々の生活が描かれています。日本一の軍港の街が激しい空襲に何度も見舞われ、戦火が人々から大切なものを奪っていく様子がよく伝わってきます。戦争はもっと悲惨で惨いものなのにほのぼのきれいに描き過ぎている、呉は世界的な視点からすれば最大の加害軍事拠点だったにも関わらずその視点が抜けている、などの意見があるのもわかります。

宮崎駿監督の『風立ちぬ』がアッパークラスの人々の戦時下の生き様を描いているのに対し、こちらは市井の普通の人々です。普通というのは、戦争とか国家というものに対しては無知で(すなわち自らの加害者性には無頓着というか知る由もなくて)、生きていくことにかけては精一杯工夫をして逞しく生きる「すず」のような人ということです。でも決して脳天気という意味ではなくて、特にすずは好きな絵を描くことによって自己表現し、また時折とても醒めた目を自分に向けながら暮らしているのです。

「銃後の女たち」を美化した作品は嫌いなのですが、この作品はそうではなくて、残酷な戦争に巻き込まれながらも何とか人間性を失わずに生きようとする人々の姿を描いたものでした。

ジェンダーという点から観ると、男性も勿論のこと、当時の女性たちの生活は本当に大変だったと思います。すずは嫁いできた日から一家の主婦として働くのですが、ガスも水道もない生活で、朝早く水を汲みに行き、乏しい食糧事情のなかで日に三回家族の食事を作り、お風呂を沸かし、洗濯などをする。自分のことは後回し。すずはそれを楽しみながらできる性分ではありますが、やはり苦労も絶えない。軍人相手に働かざるを得ない遊女もいて、何だかな…と同じ女性として本当にしんみりしてしまいます。

私が小学生だった頃の地域に、奇行の激しい、梅干しのような歳をとったおばあさんがいました。奇行を敢えて書きませんが、子どもたちが面白がって渾名をつけたり似顔絵を書いたりして冷やかし本当に気の毒でした。戦争で夫と子どもを亡くしてああなったと聞いていましたが、当時若く見積もって70代としても、戦争当時は20-30代。今考えるときっと色々なことがあったということは想像に難くありません。

『この世界の片隅に』は過去の話ではありません。また日本が受けた被害の話に矮小化してもいけません。今でもシリアをはじめ世界中の片隅で起きていることなのですし、過去は現在へ引き継がれ、そして未来へ続いていくものなのですから。


 


3/8は国際女性デー

2017年03月03日

今日は雛祭り。帰ったら温かい甘酒でも飲みたい、休みにちらし寿司でも作りたい…と思いを巡らせていますが、3月8日は国際女性デーということです。

女性デーに関連してか、ここのところの新聞記事に「女子力」についてのアンケート記事や各界の人からの若い女子たちに向けたメッセージ特集などがあってなかなか面白いのです。

「女子力」というと何だか軽いテーマですが、実はジェンダー(社会的性差)やセックス(生物的性差)に繋がっていくテーマですよね。

各界の人からのメッセージで面白かったのは、現都知事と西原理恵子という漫画家の人のでした。どちらも別に支持していないのですが、記事は説得力の高いものでした。西原氏が「お寿司と指輪は自分で買おう。その方が楽しいよ」とユニークに言っているように、お二方に共通するのは「配偶者に頼り切るのはリスキーだよ。自分の脚で立とう、これからの若い女子たち!」というものです。

2,30代は大なり小なり若さや美しさでちやほやされるもの。そこに甘えないで自分の専門を磨いたり好きなことを極めてオンリーワンになれ、と言っているのは小池都知事。

もっと大胆な西原氏は、「若さやきれいさは20年経てば資産価値ゼロ。女磨きはエステやネイルサロンじゃなくて、人生経験、経済観念、他人への優しさ、仕事のスキル etc.を磨いて自分の資産価値をあげろ」と。

「世界でたった一つの花」は当然すぎてあまり感銘を受けないのですが(むしろ特別でなくて皆フツーでいいのだと思います。親子や夫婦、友人といった関係性においては誰もがオンリーワンでしょうから)。それでも自分の好きなことを極めていくことは大事だと思います。でもそれは誰かと競って「極める」という意味ではなく(全員が全員、専門家になれるわけではないのですから)、情熱を傾けられるかどうか、好きで楽しんでいるのかどうか。好きなこと=仕事とはいかないこともありますし、むしろその方が多いのではないでしょうか。

市場価値で人の価値を測れるとは思いませんが、配偶者に経済的に頼り切るのは危険である、ということは日々の仕事で痛いほど実感しています。

自分の頭で自由に考えて行動し、且つ人と愛し合い助け合いながら生きていくには、経済的精神的両方のほどほどの自立が必要だと思います。ほどほどの、と書いたのは、健全で親密な関係というものは「自立と依存」の両方の面を兼ね備えているからだと私は考えているからです。誰もがいついかなるときも自立できているわけではありませんし(気を付けていても病気などで倒れる場合もあります)、個人の努力だけではどうしようもないこともあるのが人生です。

これまた最近のニュースですが、ヤマトの配達員さんたちが疲弊しきっているとのこと。課された膨大な仕事量と安月給の背景には、何かと Amazon を利用する私たちがいるからなのですが、こういった構造的な社会問題があるなかで「経済的自立が何より大事」とだけ説いて個人の責任に帰しても意味がないでしょう。そういえば巷では女性配達員さんたちも増えてきましたね。一部の階層を除き、女性、男性双方を取り巻く社会全体が急速に変化して厳しくなっていることに無自覚であってはなりません。

camellia

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2,2,2!

2017年02月22日

2,2,2で今日は猫の日だとか。
毎朝会う真ん丸の白猫は、近所の優しい人がエサをやりにくるのを桜の樹の下でいつも待っているのです。去勢か避妊をされて駐車場猫として飼われているようで、一応寝床もトイレもあてがわれているようです。寒い日や晩は大丈夫なのか気になりますが、日溜まりにいる姿を見かけると、柔らかい気持ちになります。

明日はまた暖かくなるそうです。体調の変化に注意していきたいものですね。

宝所在近

宝所在近


児童書のなかの解離

2017年02月16日

雑感。
最近、研修で「解離(かいり)dissociation 」について触れる機会が多くなってきています。dis-sociation の sociation とはsocial(ソーシャル、社会的、集合的)と同意で、その否定形なので(dis)、まとまりのなくなった、バラバラになった、という意味に大体なりますね。

随分前からメディアで派手に扱われた「多重人格障害」という言葉を知らない人はいないでしょう。今ではその名称は使わず「解離性同一性障害」となりました。解離性同一性障害などを重篤な疾患とすれば、それとは異なって、正常な解離というものもあるのです。何か(例えば読書や白昼夢)に没頭していて人に話しかけられても気づかなかったり、どこをどう歩いて帰ったかおぼえていない、などの経験はあると思います。

また、子どもはそもそも人格が統合されていないので、色々なタイプの解離を生じやすいようです。病的かどうかは慎重に見る必要がありますが、児童書のなかで解離を起こしている子は多いですね。

例えば赤毛のアン。彼女は鏡のなかの子と親友になって、お話に夢中になって孤独な時期を凌いだのでした。アンはきっと、鏡のなかの子を自分の鏡像とは思っていなかったことでしょう。どうも子どもというものは、「もう一人の子」や「人影、人の気配」、ひいては「幽霊」などの存在を作ることによって(勿論無意識で)、解離を起こすことが多いのでしょうか…。

スウェーデンの著名な児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン著「ひみつのいもうと」もそのようなお話です。待合のところに置いておくので興味のある方はどうぞ。正常な範囲の解離とはいえ、寂しさや辛さ、大人の世界の事情を、子どもなりに乗り越えるための健気な戦略なのだということがとてもよく伝わってきます。

アストリッド・リンドグレーン著・石井登志子訳『ひみつのいもうと』(岩波書店)より


如月

2017年02月12日

ブログの更新を御無沙汰しています。研修やら何やらあって…、と言い分けですね。

エネルギーを備蓄しておいて、次回更新を…。

相談室から2

麝香豌豆

相談室から


街角から3

2017年02月02日

明日は節分です。季節の分かれ目ですが、これから寒さが本格化しそうで嫌ですね。それでも日が延びてきて、午後4時頃はだいぶ明るくなってきたことに気付かされます。春を感じる瞬間です。

この間、時間の空いたときに書店巡りで靖国通りを歩いていたら、「岩波ブックセンター」の店主が急逝で再開の目処が立たないと張り紙され閉店していました。その前に新聞記事の斜め読みで、この書店の経営会社が破産したとの記事を読んでいたので、ああー、やっぱりそうなのね…と改めてしんみりした次第です。

岩波ブックセンターは岩波書店の書籍を中心に、人文系の文献が豊富な神保町でも有名な本屋でした。巷間に軽い読み物は溢れかえっていますが、学術書などは行くところに行かないと実物感を確かめられません。出版社も書店も経営が厳しい時代だというのはわかりますが、何とも残念なことです。

あるコラムでは、人文系の書籍の需要は無くならないという展望が語られていましたが、果たしてどうなるのでしょうね…。

画像は、これまた神保町の猫関係の本やカレンダーなどが揃っている本屋さんのブックカバー。街の小さな小さな本屋さんという感じで、こちらも有名。

So many books, So little time.

だから何を読むのか…。

姉川書店のブックカバー

姉川書店のブックカバー 味わいがあるでしょ?


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