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ブログ 心's LOOM

銀杏並木

2016年11月23日

明朝は雪の情報が出ていますね。都心でも2cmの積雪があるとか、一刻も早く雨で溶けてくれることを祈るばかりです。雪景色は綺麗で好きなのですけれど…

今日は水道橋方面から歩いてオフィスへ来ました。着いて鞄を覗くと、ひらりと1枚。銀杏の葉が中に入っていました。風に運ばれてきたんですね。この白山通りの銀杏の樹ですが、確か12月から伐採が始まります。大きくなりすぎて根が道路を変形させているからのようです。今年で見納めかと思うと寂しくなりますね。

銀杏一葉

銀杏一葉

神田カトリック教会

神田カトリック教会

 

 

 


人は社会的な動物である

2016年11月13日

今読んでいる文献から派生したお話…。

ベッセル・ヴァン・デア・コーク著『身体はトラウマを記録する-脳・心・体のつながりと回復のための手法』(2016,紀伊國屋書店)というもので、ヴァン・デア・コーク先生はトラウマ研究の第一人者なのですが、この著書の表紙絵(昨日のブログphoto)どこかで見たことがあるなと思っていました。

それもそのはず、アンリ・マティスのJazzシリーズの一枚『イカロス』でした。イカロスはギリシャ神話に出てくる登場人物で、蝋で固めた翼を付けて空を飛翔しますが、太陽の熱で蝋が溶け、海に墜落して命を落としてしまう男の子の話でしたね(但し諸説あり)。今ではテクノロジーや人間の傲慢さを戒める神話として有名です。

コーク先生の著書の原題は『THE BODY KEEPS THE SCORE』Brain,Mind,and Body in the Healing of Trauma(2014)

今日、トラウマ(心的外傷)は精神に影響を及ぼすだけでなく、脳や体にも重篤な影響を与えることがわかっています。そして何をトラウマとするかは単回の大事件や大事故だけでなく、「発達性トラウマ」という幼少期からの生育の段階で受けるトラウマや「親子関係の性質」に目を向けて、脳や心や体にアプローチする色々な治療法を研究・実践していく必要性をこの本のなかで繰り返し説いていました。

ところで、この本の制作者はなぜ『イカロス』を使ったのか?人は社会的な動物であるのに、そのことを軽視して精密医療化している最新の精神医療に対する警鐘なのか。それともイカロスの羽はbodyの一部であり、bodyの損傷ということは彼がトラウマを負っていたことを暗に示したかったのか…。何となくなのか…(笑)。

ブルフィンチの『ギリシア・ローマ神話』を読むと、子どものイカロスの話というより、その父ダイダロスの話になっています。ダイダロスは並外れて優秀な細工師で、幽閉されていた迷宮から逃げ出すために息子と自分の分の羽を作り本人は助かりました。ダイダロスは優秀だけれど嫉妬心から甥を殺めてしまうほどの激しい心性の人物として書かれているので、父ダイダロスと無邪気な息子イカロスの関係ももしかしたら複雑なものだったのかもしれません。

燃え

燃え

 

 


今日の締め…

2016年11月12日

マインドフルネスと読書と甘いものと…

お茶の時間

お茶の時間


行く末

2016年11月09日

寒くなってきましたね。東京都心では木枯らし1号だとか、背中を丸めて歩いてしまいます。

昨夜はある心理療法の電話コンサルテーション会議があり、さすがに午前様になってしまうので近所のビジネスホテルに泊まりました。ひさ~しぶりにテレビを観たり、朝ご飯(凄い質素でびっくり。このホテルはもっとマシなはずでしたが…笑)も人が作ってくれるので、楽~な気持ちの良い朝を迎えることが出来ました。暖かいベッドと温かい食事があるのはありがたいことです。

さてホテルではBSで米の選挙報道を観て、オフィスに着いてからはPBS(米国公共放送)を聞きながら、目は朝日新聞サイトの大統領選挙開票速報を追っています。お昼の段階では接戦で目が離せないのですが、新聞サイトは各州毎にどちらが勝ったかを、州の紹介を少し載せながら報道してくれるので、なかなか面白いのです。この州は共和党が強いとか、こちらの州で例の事件が起きたなど、州の場所は分からなくても勉強になります。

そうこうするうちに、なんだか情勢は酷いことになってきました。障害者の真似を公衆の面前で派手にやって後から下手な言い訳をしたり、差別主義で排他的な人物が大統領になったら一体どういうことになるのでしょうか…。

九段下界隈

九段下界隈


Necessity is the mother of invention.

2016年11月02日

必要は発明の母、という諺を英語で表すと上記のようになるようです。そのままですが、日本の諺ではないのでしょうね。

必要は達成の母、というのが目下のところ実感です。

私事で恐縮ですが夏頃から必要に迫られて長距離運転をしなくてはいけなくなりました。元々運転恐怖症で運動神経もないのに、あるものといえば「必要性」と「代替不可能性」だけ。

最初の頃、運転中は恐怖感と緊張感、運転後4-5日間は全身筋肉痛と虚脱感でボロボロでしたが、今は100キロぐらいは途中休憩を入れずに運転できるようになりました。今でも怖いものは怖いのですが…。

そういえば…、好きな諺はといえば「火事場の馬鹿力」「窮鼠、猫を噛む」など(笑)。「自力」だけではなく「他力本願」もいいですねぇ。

「必要に迫られる」というのは、人を動かすということ学びました。ということは、迫られないと動けないのが人間なのかもしれません。そうではない人も勿論いらっしゃいますが。

とはいえ一方で、色々な人の支えを借りていることも忘れてはなりませんね。

美しい赤い樹

美しい赤い樹

 


父と娘の関係2

2016年10月22日

~続き~「契約、知 vs.愛」がテーマの『ニーベルングの指環:ワルキューレ』より

前にも述べたように、ワルキューレ(複ワルキューレン)とは9人の女戦士のことで、長女の名がブリュンヒルデ。槍と盾を身に付け、雄叫びを上げて登場する勇ましい戦乙女なのですが、まあ現代ならナウシカやもののけ姫あたりでしょうか…。

主神ヴォータンと知恵の女神の子どもであるブリュンヒルデは、9人姉妹のなかで最も聡明で勇敢なワルキューレであり、それゆえ父の寵愛と期待を一身に受け、また父の命令に忠実なのです。

では女戦士とは一体どんな役目を負わされているのでしょうか。彼女たちは父の命令によって、将来の戦に備えて人間界の戦死者の中から優れた兵士を集め父の居城ヴァルハルに連れて行くのが仕事です。

ヴォータンは元々、黄金の指環(これを手に入れた者は世界を統治する権力を得る)を地底族から騙し取った経緯があり、その地底族からの反撃を怖れて兵士を集めています。契約の神であるヴォータン(契約の神なのに!)はじめ様々な種族の者たちが、権力に取り憑かれて殺戮や強奪をしたり策謀したりしているのです。

ヴォータンが愛娘ブリュンヒルデに、ある人物(ジークムント、実はヴォータンと人間との間の息子)をヴァルハルに兵士として連れて来いと命じます。ところがジークムントは愛する人も一緒に行けないのならば自分は行かないと申し出を拒みます。神の下で働けるという名誉を捨てて、ジークムントは愛を選んだのです。それでも押すブリュンヒルデにジークムントは「あなたは強くて優秀だが、心は冷酷な人だ」と言い放ちます。こういったジークムントの行為はブリュンヒルデを強く揺さぶります。

彼女は今まで父に従い男性原理で生きてきた人なのですが、ここで世界観の変容が起きます。権力よりも愛を第一義に貫く男性を前にして、父親の命令に背くことを選びます。そして父の情け容赦ない怒りを買い、残る姉妹8人に助けを求めても得られずに(姉妹は父を怖れて姉を助けられないのですね)、父の厳罰を受けることになります。

物語には色々な登場人物のもっと複雑な心理があるのですが、まあ大体の筋は以上のようなものです。

主神ヴォータンを「父」や「契約や知を重んじる男性原理主導の社会」とするならば、こういった優勢な支配に盲目的に従う姉妹8人というのは、現代の私たちとは無縁の他人事ではありません。ブリュンヒルデの生き方は、自分で物事を見て考え、自由な意思で行動・選択するという大切な一つの示唆を与えていると思いますが、さて、私たち女性はそれができているのでしょうか…。

オペラのムックでは「ブリュンヒルデは未来の女性像だ」と書かれていましたが、この後の作品「ジークフリート」「神々の黄昏」で更に大きく登場することになります。

トルコ桔梗

 


父と娘の関係1

2016年10月16日

先日、年に2度のご褒美ということで、ワーグナー作オペラ『ワルキューレ』を観てきました。休憩時間を含めると約5時間の上演なのですが、休憩中はホールで売られているカツサンドを食べたり色々飲んだり、お腹も機嫌を損ねず楽しむことが出来ました。そういえばワーグナー好きの皇太子も観劇していましたが、ああいう方は長い休憩時間どこでなにをしているのだろう…と思いました。ざわざわした人混みの中の一人でいられるということは、なんてステキなことなんでしょうね。

さて『ワルキューレ』。トム・クルーズの映画(これもなかなか面白かったように記憶していますが)ではありませんよ。序章が『ラインの黄金』、2作目が『ワルキューレ』、3作目が『ジークフリート』、4作目が『神々の黄昏』、この4作を合わせて『ニーベルングの指環』といって、全部合わせると15時間の上演になり昔は4日連続で開催されたようなのですが、さすが現在はバラバラに上演されるのがほとんどのようです。

前にもブログで書きましたが、北欧神話、ドイツの伝説、ギリシャ神話などを題材にして作られたもので、神々、半神、人間、巨人、小人(地底人)、妖精などが出てくる壮大なスケールの作品なのです。神話、伝説、昔話といったものは、東西の違いはあるものの、人間真理の普遍的な面が捉えられているので、心理の面からも非常に重要になってくるのですね。

で、この『ワルキューレ』。半神半人の兄妹の愛と、神の王である父と戦士である愛娘の関係、という2つの軸が交差して響き合いながら物語が進展していきます。因みにワルキューレ(複:ワルキューレン)というのは、父(主神ヴォーダン)を守る9人の娘である女戦士たちのことであり、そのなかの長子である勇敢聡明なブリュンヒルデと父の関係に目が離せないのです。下世話な話になりますが、大手家具屋さんの父と娘の関係もこのようなものであったのだろうか…、などと勝手な妄想をしてみたり…。

長くなってしまったので、続きは次回ということにしたいと思います。

色々なカラー

 


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