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ブログ 心's LOOM

外部の目

2015年01月15日

最近観た映画(録画)で面白かったものが、「コンプライアンス Compliance〜服従の心理〜」。日本では2013年に公開されたようですが、心理実験に興味のある方にはお薦めの作品です。この作品は実験ものではないのですが、実際にアメリカで起きた一連の事件を元に作られています。

アメリカのファストフードチェーン店で真っ昼間に起きた事件。

一本の電話によって、従業員たちが次第に冷静な判断を失っていく、人の愚かさと恐ろしさを描いたとても怖い話です。状況を少し離れて見られれば、その異常さにすぐに気付けるものの、一定の拘束状態では人の判断は鈍るということがよく解ります。この場合の拘束状態とは、店は人手不足なのに客はいっぱいでごった返している、いつ本部の抜き打ち検査が入るかわからない、などの余裕のない状態です。身体を強制的に拘束されているわけではありません。

ストーリーは書きませんが、こういう閉塞状況を打破するにはどうしたらいいのだろうか、そう考えながら観ていました。これには外からの風を取り入れることが一番で、「判断」を外部の者にも求める、ということしかないように思われました。

事態は違っても似たようなものとして、オレオレ詐欺に通じるものを感じます。自分は絶対にオレオレ詐欺なんかに引っかからないと思っていても、「その時その時の(自分の)状況次第では、人は正しい判断を下せなくなるし、人のことを信じてしまうこともある」くらいに思っていた方が、不測の事態に少しは柔軟に対応できるのかもしれません。

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↑ 薄氷を踏む思い?




本年も宜しくお願い申し上げます。

2015年01月04日

新年を迎えました。

どのような年にしたいですか?

昨年の手帳を読み直しながら年を越しました。
目標をつらつら書いていたのだけれど、2-3割くらいは達成できたかな。例えば絶対に読みそうにもない「〇〇の本を読む」とか…etc. 書くことで動機が強まったのでしょうかね?

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↑ ミニスノーマン?







今年もありがとうございました。

2014年12月28日

仕事納めの今日、手抜きの大掃除も終わりほっと一息ついています。
今年も間もなく終わるのかと思うと感慨も一入です。

喜怒哀楽こもごもの一年でしたが、とはいえ総じて楽しく充実した年でした。色々な方にご指導いただいたり助けていただいたり、新しい人との出会いがあったり、何よりクライアントの皆さんとの一つ一つのセッションが大きく影響していると思います。勿論、出会いもあれば別れもありでして、これは世の必定ですよね。


*****

“…人間は地球の小さな畑の正直な農夫として、自分の土地を耕しながら、みずからを養うことを学ぶのである。…”
Freud,S.『幻想の未来』「現実への教育」より

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『幻想の未来』

2014年12月25日

今日はクリスマス。

帰りにケーキの叩き売りをしていないか見るつもり〜。叩き売りって死語でしょうかねぇ…。昨日はあまりの人混みにケーキは諦めたのでした。
例年、クリスマスの雰囲気をそれなりに楽しんではいるものの、自分の節操のなさを思わないこともなく…。

こういうときに今読んでいて面白いのが、フロイトの『幻想の未来』。ヨーロッパ社会、キリスト教社会への批判の書であり、心理の面から見て宗教とは一体何かを考察した大変面白い論文です。社会の大前提となっているものを、偉人の力を借りて、違う角度から捉え直してみる、相対化してみる、という作業の大切さを改めて知ることができます。

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↑ ラファエロ・サンツィオ『聖家族と仔羊』




ファンタジーの世界へ

2014年12月14日

昨日封切りの『ホビット3』(最終章?)を観てきました。

初めての3D体験でもあったのですが、眼鏡が固くって痛かった!あそこの人邪魔邪魔〜と思っていたら、映画のなかの人物だったり物体だったりして、それなりに奥行きを楽しめたものの私には2Dで十分でした。オペラなども、そこの人邪魔〜!と思っていたらオーケストラピットの指揮者だった、という体験もあって、どうも一度に様々な情報を処理するのが苦手のようです。

さてホビット。これは本当に面白かった!もちろん内容は書きませんが、お子様がいる家庭は冬休みに観に行くのでしょうか?やはりスケールの壮大な作品は家で観るより映画館ですね。一つ一つのシーンが息を呑むほどに美しい。それはたとえ忌々しいオークの大群であっても…。

どうやってCGを駆使しているのかメイキングに関しても興味が尽きないながら、この物語にしてもロード・オブ・ザリングにしても単純な勧善懲悪ではないところ、ファンタジーの世界にどっぷり浸れるところが大いなる魅力ですね。映画が終わった後も、想像の翼は『ホビット』の世界へ。言語学者でもあるトールキンという人の頭の中は一体どのようになっているのでしょうか?

ストーリー展開として、まあいつも思うのは、最初から大鷲の大群が来ていれば…と思うのですが、それを言ってしまえば元も子もありませんね。

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↑ こんなカードをプレゼントされましたが、集めるってどこで?できればケイト・ブランシェットかもう一人の女優さんのが欲しかったな。







師走ならぬ…、

2014年12月06日

朝から選挙の候補者が走り回っているようです。政策を話すのではなく、掛け声の連呼でほんとうるさい〜。

それにしても寒い一日ですね。
インフルエンザの流行が例年より早く、型も複数あるらしく、何度も罹る人が出てくるのではと予想されています。ウィルスの繁殖には乾燥が一番よくないようで、マスクと嗽、手洗い、水分摂取で乗り切りたいと思います。

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父と母と息子

2014年11月30日

久〜しぶりにヴェルディ作曲のオペラ、『ドン・カルロ』を観てきました。原作はフリードリッヒ・フォン・シラーの『ドン・カルロス』。シラーって誰?という方は、12月に流れる『第九』の合唱曲の歌詞の人、といえばすぐにピンとくるでしょう。

この『ドン・カルロ』、話の筋は本当にメロドラマです。どういうことかというと、主人公と相思相愛だった女性が、今は事情があって主人公の父の妻であり、つまりは母(義母)と息子の関係になり、お互いに思慕の念を抱きながら苦しむ、という設定なのです。これだけでも十分魅力的なのですが…。

舞台は16世紀のスペインで、ドン・カルロはスペインの王子。父は国王。母はフランスの元王女。父と息子、カトリックとプロテスタント、統治(弾圧)と独立、といった重要な対立軸のほかに、成年男子の友情、女の嫉妬や贖罪などの要素が鍵となっており、とても重厚なスケールの大きい作品に仕上がっています。

ドン・カルロは義母への愛に苦しむのですが、一方、国王も息子と妻の仲を疑い、また妻のつれなさから孤独に苦しみます。政略結婚とはいえ若い妻を娶ったことで、自らの老いにも直面させられます。若いドン・カルロは最初はナヨナヨした青年なのですが、そのうち国政にも目覚め、父への反抗心を露わにし、血気盛んに後先考えず父に対し剣を抜きます。

この作品、一体何がテーマなのか?ここまで観て気付いたのですが、フロイトのいう「エディプス・コンプレックス」そのものなのですよね。「(男の子は)母の愛をめぐって父と争う」という無意識的葛藤ですが、正にそのものずばりなのでした。勿論、実母ではなく元恋人である義母にアレンジはされています。

ドン・カルロの最後が素晴らしい。父に去勢されることもなく、ギリシャ神話のように母を娶ることもなく、葛藤は昇華され、自立への道を歩みます。父からも母からも離れていくのです。

ではこの主人公の自立を促したものは何だったのか。母への執着を切ったものは何だったのか。それは父の力もありますが、真の友情関係と、それから母の押し出す力だったと思います。元恋人は、最後は「母親」として「息子」を外に出すのです。二人の愛の成就よりも、一人の青年の成長を後押しします。その部分のアリアを聴いていると、「断腸の思い」とはこのことではないかとさえ心を強く揺さぶられます。

エディプス・コンプレックスなど自分に関係ないと思っている男性陣は沢山いると思いますが、そうでもないなと思うのが日々の印象です。

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