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心理 東京
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ブログ 心's LOOM
師走ならぬ…、
2014年12月06日
朝から選挙の候補者が走り回っているようです。政策を話すのではなく、掛け声の連呼でほんとうるさい〜。
それにしても寒い一日ですね。
インフルエンザの流行が例年より早く、型も複数あるらしく、何度も罹る人が出てくるのではと予想されています。ウィルスの繁殖には乾燥が一番よくないようで、マスクと嗽、手洗い、水分摂取で乗り切りたいと思います。
父と母と息子
2014年11月30日
久〜しぶりにヴェルディ作曲のオペラ、『ドン・カルロ』を観てきました。原作はフリードリッヒ・フォン・シラーの『ドン・カルロス』。シラーって誰?という方は、12月に流れる『第九』の合唱曲の歌詞の人、といえばすぐにピンとくるでしょう。
この『ドン・カルロ』、話の筋は本当にメロドラマです。どういうことかというと、主人公と相思相愛だった女性が、今は事情があって主人公の父の妻であり、つまりは母(義母)と息子の関係になり、お互いに思慕の念を抱きながら苦しむ、という設定なのです。これだけでも十分魅力的なのですが…。
舞台は16世紀のスペインで、ドン・カルロはスペインの王子。父は国王。母はフランスの元王女。父と息子、カトリックとプロテスタント、統治(弾圧)と独立、といった重要な対立軸のほかに、成年男子の友情、女の嫉妬や贖罪などの要素が鍵となっており、とても重厚なスケールの大きい作品に仕上がっています。
ドン・カルロは義母への愛に苦しむのですが、一方、国王も息子と妻の仲を疑い、また妻のつれなさから孤独に苦しみます。政略結婚とはいえ若い妻を娶ったことで、自らの老いにも直面させられます。若いドン・カルロは最初はナヨナヨした青年なのですが、そのうち国政にも目覚め、父への反抗心を露わにし、血気盛んに後先考えず父に対し剣を抜きます。
この作品、一体何がテーマなのか?ここまで観て気付いたのですが、フロイトのいう「エディプス・コンプレックス」そのものなのですよね。「(男の子は)母の愛をめぐって父と争う」という無意識的葛藤ですが、正にそのものずばりなのでした。勿論、実母ではなく元恋人である義母にアレンジはされています。
ドン・カルロの最後が素晴らしい。父に去勢されることもなく、ギリシャ神話のように母を娶ることもなく、葛藤は昇華され、自立への道を歩みます。父からも母からも離れていくのです。
ではこの主人公の自立を促したものは何だったのか。母への執着を切ったものは何だったのか。それは父の力もありますが、真の友情関係と、それから母の押し出す力だったと思います。元恋人は、最後は「母親」として「息子」を外に出すのです。二人の愛の成就よりも、一人の青年の成長を後押しします。その部分のアリアを聴いていると、「断腸の思い」とはこのことではないかとさえ心を強く揺さぶられます。
エディプス・コンプレックスなど自分に関係ないと思っている男性陣は沢山いると思いますが、そうでもないなと思うのが日々の印象です。
街模様
2014年11月29日
もうこんなシーズンに。
↓ 経費削減のためか昨年とたいして変わらない印象が…。
人生へのヒント
2014年11月23日
帚木蓬生著 『生きる力 森田正馬の15の提言』(2013,朝日新聞出版)というものがあります。精神科医森田正馬の含蓄の深い言葉を15個ピックアップし、その解説を兼ねたエッセーとなっています。簡単にすらすら読めるのに味わい深く、生きる指針のようなものを教えてくれています。
それもそのはず、帚木蓬生は作家であると同時に精神科医なので、神経症の悩みについて熟知している人だからでしょうし、作家としての力量も優れているからなのでしょうね。昔々、彼の『三たびの海峡』を読んだことがありますが、内容は既にすっからかんに忘れていても「すごい作品だった」ということだけはおぼえています。
彼は「森田療法は神経症、神経質の人だけでなく、健康な人にも多いに役立ちうるものだ」と言っていますが、本当にその通りだと思います。このような関連の書籍を読むだけでも人生への関わり方が違ってくると思います。
それに…、いつかは40日間の森田療法というものも味わってみたい。
私のよくあずかり知らないところでは、絶食(ファスティング)というのが一部行われているようですね。ダイエットか療養か目的はわかりませんが、一週間くらい施設に入って完全管理のもと、決められた食事だけで過ごすもののようです。これが成立するならば、一般の人が申し込む入所型森田療法もあってもいいのではないか?
約1週間の絶対臥褥期(食事・トイレ・洗面・入浴のときのみ起きて後は寝る。誰とも口を聞いてはいけない。)/約1週間の軽作業期(起床可。庭の自然の観察、古い書物などを読む。会話禁止。日記を付ける。)/約1週間の重作業期(家事雑事を行う。他の人の世話をする。会話OK。)/約1週間の社会復帰期(買い物や用事、自分の家へ行くなど外出OK。)
もはやこれは苦行ですね。完全なマインドフルネス状態でもある。宗教団体の集団生活のようで嫌だと言う人もいますが、終了後は世界観が変わることが想像つきます。願わくば、美しい自然のなかの、源泉掛け流し温泉付、瀟洒な施設であれば、絶対にやってみたいことになるのですが…。女性には人気が出ると思いますが、いかが?
衝撃的な一冊
2014年11月11日
と言っても心理系の本ではありません。
でも心に通じていくもの、だと思います。
ハンス・シルヴェスターというドイツのフォトグラファーによる1冊の写真集。その名も 『ナチュラル・ファッション』 (2013, 武者小路実昭訳 DU BOOKS)。ファッション写真というよりむしろそこに載っているのは、目を瞠るばかりの芸術作品たち。
これは人類発祥の地とされる東アフリカの国、エチオピアに暮らす2つの少数部族の「装い」を撮ったものです。その装いは宗教や儀式など何か特別な日のためのものではなく、ごく自然に即興で身に纏ってしまうのだとか。ページを繰りながら、そのあまりの美しさ、躍動感、生命力に圧倒されてしまいました。ちょっとグロテスクな風習はさておき、声を失ってしまうほどでした。
彼らは「動物や生き物に似せた恰好を目指しているのではないか」とのことです。自然界のなかに美を見出し、体を色とりどりの火山土で個性的にペイントし、植物やそこら辺に落ちているもので自身を装飾する。現代の私たちがオシャレや化粧などをして遊んだり、より自分を良く見せようとするのも、人として根源的な行為なのだと思えてきました。
ただ私たちと違うのは、彼らには鏡がないということ。そして透明な池や川もないので、自分を見ることをしないのだそうです。部族の仲間を見て、自分を飾っていく。それでどうやってあれほど独創的なものになるのでしょうか…。
今の私たちは鏡や写真など自分の容姿を見る機会がやたら多い。いやになるくらい。でもなければ日々困る。そういう人間と鏡を見ることのない人間。この両者の心性の違いは一体どのようなものなのでしょうかね。これは結構興味深いテーマだと思うのですが…。
↑ 『ナチュラル・ファッション』 2013, 武者小路実昭訳 DU BOOKS ( 『LES HABITS DE LA NATURE』 by Hans Silvester )より
もうほとんど森や草原の妖精のよう…。
個と普遍
2014年11月02日
暖かな一日でした。
界隈は神田古書店祭りの最中で、知っているお店もいつもよりお客さんがいたためそそくさと帰ってきました。
悩みや心の問題を抱えている人は、同じような悩みを抱えている人が記した書物を手に取ってみるのも一つの有効な手段だと思います。私はこれに加え、(自助)グループをお薦めすることが結構あります。人の悩みは、その人特有の個人のものではあるけれど、他人の悩みと共通する部分がとても多いと思います。同じ「人間」が悩んでいるのですから、当然、症状、悩みの内容、対人関係パターンというのはある種の型ができてきます。本やグループで他人のシェア(話)を参考にしながら、自分自身をより深く理解したり、解決への糸口を探してみるのです。
もちろん個性や体験の個別性を十分重視する必要があるので、心理療法や心理カウンセリングが単なる treatment を超えて、art ないし entertainment などと言われているのかも知れません。entertainment と聞くと「何、不謹慎な…」と思われる方もいると思いますが、単純な「娯楽」という意味ではなく、セラピストとクライエントが「共に問題に向き合える時間を貴重な得難いものとして楽しむこと」と私は受けとめており、実際そのように日々感じてもいます。
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もっと光を…
2014年10月29日
落葉松の紅葉をみに行きました。
写真にすると全くくすんでしまうのだけれど、実際はもっと鮮やかで辺り一面が黄金色に輝いており、それだけで心が明るくなる風景でした。
ふらふらとよく山や川、海があるところなんかを訪れるのは、ちょっと大袈裟かもしれませんが、魂のよりどころを求めているからなのかもしれません。