2024年10月06日
秋雨が続き日に日に秋を感じるようになってきましたね。
学びの秋ということで、整理していたら見つけた下記のワークブックを私がゆるゆるやりながら、気付いたポイントを追々紹介していきたいと思います。
3回前のブログで「ほめない子育て」の記事を取り上げましたが、その是非はともかく、自尊心(ここでは自己肯定感も同義とみなす)をいかにして育てるかがキー概念でした。条件付けではない自尊心、です。そんなのあり得るのだろうか…と半信半疑の方もいらっしゃることと思います。乞うご期待。
2024年09月22日
気が付けば秋分の日を迎えていました。たった2週間前の出来事がもう随分前の昔のことのように感じてしまうのは、一種の解離状態にいるからなのか、ただ単に歳を重ねてきた証拠なのか…。
立命館大学茨木キャンパスでの研修は、内容はシリアスでありながら勉強になりました。テーマは「DV被害者(女性被害者)のためのEMDR療法」です。戻ってきて今復習をしていますが、理想化防衛(ひどい相手へ忠誠心や機能不全な肯定的感情を抱くこと)の扱い方について学べたことがとても新鮮で有意義でした。
キャンパスもローカルな駅にありながら広大で綺麗でしたよ。京都から電車で25分くらいで行けるので、何て利便性がいいのでしょう。
また研修は学ぶ内容こそ大事ですが、そこでお昼を食べたりお話したりする参加者同士の交流も楽しく、この暑さのなか再び意欲が湧くきっかけを与えていただきました。ありがとうございました。
秋の深まりとともに、学んだものを自分の内に落とし込んでいきたいと思います。
コスモス
2024年09月05日
明日午後より不在となりますので、11日(水)から通常営業となります。御迷惑をお掛けしますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
関心の高いテーマ、「ドメスティック・バイオレンス被害にたいするEMDR」の研修で京都、大阪へ行って参ります。関西の大学を訪れるのは初めてです。今日、主催者からの通知に目を通していたら、何でも大学構内で吉本のお笑いイベントが同日に開催されるのだとか…。すごいですねぇ…、かなりの異文化です。
また週末は厳しい暑さになるようなので、なるべく健やかに過ごしたいものです。皆さまもお気を付けくださいね。
2024年08月31日
明日から9月です。天候不順が続き疲れも溜まってきますね。
さて、最近気になって何往復も読んでしまった記事がありました。
「ほめるな危険」心理学者が指摘 子どもを打たれ弱くさせる親の特徴(2024.4.7付 朝日新聞デジタル)
よく見たら4月の記事ですが、デジタル版だと過去の記事も時折上がってくるので目に付いたのだと思います。記事に対し多様な文化人のコメントも沢山付されていましたので、やはり注目を浴びた記事なのでしょう。
まず、上記のようなタイトルを見付けたらどう思うでしょうか。私の場合、またか~!と思いました。「子どもをほめて育てよ」という人もいれば、「ほめるのは良くない」「厳しく育てないと社会でやっていけない」という人もいて、A説が出れば反対のB説が出てくるし、アウフヘーベンされたC説もきっとあるでしょう。
ある学会でも「ほめるのはあまりよろしくない」とおっしゃった教授もいて、その時も混乱しました。ほめる子育てNG説は、ほめても自己肯定感(自尊感情)は上がらす、むしろ他者評価に依存して自分を評価するようになり、「厳しい状況を乗り越えて自分は頑張った」と思える時にこそ自己肯定感は育まれるのだと唱えています。一理ありますね。
ですが「ほめる」と一口にいっても、何をどうほめるかの問題もあるでしょう。テストで良い点を取ったときにほめるのか(能力主義、成果主義)、見た目が可愛い、かっこいいなど自分の力ではどうにもならないようなことをほめるのか、親の言うことをよく聞いた時、いい子だったときにほめるのか etc. 。これらのほめは全てNGとも思えるような、でも人間として自然にほめ言葉が口から出るときもあるのではないでしょうか…。
「ほめる、ほめない」で汲々とする前に何かもっと大切なことがあるような気がして、ひとまず答えを出さずに考えていたいと思います。
2024年08月10日
明後日から夏休みとなります。毎日東京駅を過るのですが、ごった返す人だかりを見ているとそれだけで疲れてくるので、今年は静かに過ごそうと思います。休みの間はジムも止まってしまうので溜まった事務作業をしたり、読書をしたり、出られなかった読書会のアーカイヴを観たりしようかと計画しています。普段はほとんどできない料理なども、畑で買った新鮮な夏野菜で試してみようかな…とも考えています。
さて、今日は新刊の御紹介。
斎藤学(著)【ヒトは嗜癖する 共依存から性暴力まで】(2024)金剛出版
帯に記されているのは、「ヒトはどこから来て、どう育ち、そしてどこへ行くのか ―。いま、「家族システム」という病を再考する。」
これを見るだけでもかなり興味を引くでしょう?7月に出ました。実は私も仲間から教えてもらい読み始めたばかりなのですが、今までの論文をまとめたものでありながら、第一章と第九章は大幅に加筆修正されています。「共依存」について関心の高い方は、是非お手に取ってみてください。
面接室のなかでも度々話題にあがる共依存。私も生育の過程で共依存の女性たちしか身近におらず、ということは自己のなかにもそのような心性が確実にあるということで、インディペンデントでありたいと切実に願いながらも大きな力に絡み取られていくようなことが度々あります。結果、人を傷付けてしまったり…
お盆は冷たいお茶でも飲みながら、斎藤先生の御著書を精読したいと思います。
2024年07月31日
明日から8月に入ります。危険な暑さと湿度が続きますね。高齢の方やより地面に近い小さなお子様やペットたちには格別の配慮が必要です。体力に自信のある大人であっても、過信は危険だと思います。頭が直接太陽の陽に照らされている人を見かけると、つい、大丈夫なのだろうかと心配になります。
この酷暑、熱帯夜の季節の睡眠も質が下がりますね。エアコンで室温をかなり下げて冬用の羽根布団を掛けて寝る人がいるようですが、どうもあれだけはできません。人それぞれだと思いますが、私は窓を網戸にして頭など各所を保冷剤で冷やして寝ています。でもこの頭を冷やすやり方は、睡眠の質に良くないそうです。よく眠れているような錯覚を起こすだけで、実はあまり眠っていないとのことでした。どうぞ真似はしませんように…
そういえば先日の学会で、脳神経科学の先生が、「記憶の再固定化」のためには「タンパク質・水・睡眠」の3つが必要なのだと力説されていました。良質のたんぱく質を食事でとり、寝る前に水(寝酒は否!)を摂取し、適度によく眠りなさいということです。記憶の再固定化とは、学習した記憶に新たな情報が加わることでversion upされ長期記憶となって安定することだそうです。因みにEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)によるトラウマ記憶の処理とは、記憶の消去学習ではなく、記憶の再固定化(再編して安定させる)を目指す療法です。
記憶の処理のためにも良眠、安眠が必要不可欠と言えますが、この時季はかなり難しい。タンパク質と水だけは意識して摂るようにしています。
2024年07月18日
そこにあるのは「否認 denial」だらけ…
5月末公開の映画『関心領域 The Zone of Interest』(波・米・英)をやっと観てきました。今年のアカデミー外国語映画賞の作品です。
アウシュヴィッツ収容所の塀一枚隔てた隣に住むヘス所長(後に戦犯として死刑)一家の暮らしぶり、それも一見、子沢山家族の賑やかで豊かな暮らしを描いています。印象派の「草上の昼食」のようなシーンから始まります。
内容が内容なので観客の年齢層は高いかと思いきや、日曜の夜のせいか若い世代も結構観にきており意外でした。
ナチスやホロコーストを扱った映画は長年観てきましたが、凄惨なシーンはこの映画には一切ありません。観客の知識と想像力に委ねられるのですが、一家の何気ない日常のなかの行為によって人間の恐ろしさが描出されていきます。だから一層怖いのです。
瀟洒な邸宅はポーランド人家政婦や使用人(ユダヤ人捕虜?)など沢山の人の出入りがあります。
帰宅した所長のブーツが使用人に洗われる時に流れる赤い水。ユダヤ人の毛皮のコートを何食わぬ顔をして羽織る妻。コートのポケットから使いかけの口紅を見つけ平然と鏡の前で塗る妻。どこで拾い集めたのか人の歯を夜中に眺める長男。拷問の声が外から聞こえながらも室内で無心に遊ぶ次男。自慢のガーデンの花の匂いをかがせながら赤子をあやす妻。楽し気に遊ぶ子どもたちの甲高い声。しかし、常に背後には煉瓦の建物群と昼夜問わず立ち昇る煙が見えます。
人は見たくないものは決して見ないということ。また、内発的な良心や正義というものは組織への忠誠を前にしてかくも消えてしまうのかということ、そもそも内発的な良心などそんなものはなく、身内の幸せしか考えられない愚かな生き物なのではないかとさえ思えてきます。
政治哲学者のハンナ・アーレントだったか、ナチスの非道な戦犯たちも、家に帰れば良き夫、良き父、或いは思考停止した凡庸な一人の男に過ぎなかった、と述べていました。ヘス所長も上辺は有能な軍人で良き父良き夫です。このギャップをどう説明したらいいのでしょうか…。私たちもうっかりしていれば誰しも所長や妻になり得るのだと思いました。
一方で、映画のなかでは一人のポーランド人少女の並々ならぬ行為に人間性や良心を見ることができます。実際にいた少女のことを監督が映画に取り入れたようです。妻の母にも微かな人間性を垣間見ることができます。一縷の希望がそこにはあります。