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ブログ 心's LOOM

対話

2020年02月05日

電車で60歳くらいの御夫婦が話をしていました。どうやら旅行のようで話が弾み、だんだん夫の声が大きくなっていきます。マスクもしているので尚更大きくなるのか、すると妻が突然話の合間に「声がデカイっ!」と注意をしました。夫はすぐに声を抑え、また楽しく話し続けました。聴くともなしに聞こえ可笑しくなってしまいましたが、この夫婦は上手くコミュニケーションがとれているのだなと思いました。

最近、同業先輩のブログを読んでいるなかで「モノローグ(一人語り、独白)とダイアローグ(対話)」という話題のものがあり、それが印象的だったので、朝の車内の御夫婦に目がいったのかもしれません。対話と会話は異なるのでしょうが、複数人による話し合いという意味においては同じですね。夫妻といえば、オバマ元大統領とミッシェル夫人は徹底的に会話をして二人の問題を乗り越えていくということをどこかで目にしましたが、その気構えは見習いたいものの真似できないようにも思います。

さて、そのモノローグとダイアローグですが、人はとかくモノローグばかりしがちで、モノローグは自ずと自分を非難したり良くない評価を下したりする傾向が強いのです。一方、ダイアローグ(対話)はそこに他者が存在するので、自分だけではとらえきれない物の見方や考え方などを得ることができます。だからこそ精神科医や心理療法家などによる「治療的な対話」というものが意味を帯びてくる、ということだったかと思います。

モノローグは建設的な内省ならいいのですが、ぐるぐると堂々巡りの自責や煩悶になったり、そればかりでなく他責傾向の強い場合もあります。自責や他責は有機的な人間関係から自分を遠ざけてしまいます。そこでダイアローグの場に身を置くおくことによって、モノローグからの脱却を図ってみることがまずは大切ではないでしょうか。医師や心理療法家は気が進まないという方は、信頼のおける人や同じような悩みを抱えた誠実なピア(仲間)と会話をしてみてもいいかもしれません。(続く)

 

 

 

 


一月も終わりとなりました

2020年01月30日

寒かったり春の陽気になったりと差の激しい季節ですね。

昨夜はクライエントさんから「東京のマスクはほぼ売り切れですよ」と教えてもらい、帰宅時に神保町のドラッグストアとコンビニ2件、100円ショップに行ってきました。朝方はまだあったのですが、一日でほぼ消えました。売れ残るは保湿タイプのマスクが少々。地元のスーパーに行くとMサイズは売り切れ、Sサイズお一人2箱まで、ということで何とか1箱買うことができました。マスクは予防には向かないらしいのですが。

こういう時は何事にも冷静にならないといけませんが、大混雑したところを歩いたり長時間電車に乗るので不安はあります。高齢の方や小さなお子さんのいる方など生活スタイルは人様々ですから、心配な方は手洗い・嗽とできる対処はなるべくしてお過ごしください。相談室内もアルコール除菌など多少の環境整備をしてお待ちしております。

雪渡り

 

 

 


家族

2020年01月15日

今年は鼠年で十二支の最初の年です。

ジェノグラム(家族歴)をお聴きするときに、親の年齢(生年)を知らない人が少なからずいて、そういう場合十二支を知っているかお聴きしますが、それも知らない方がいらっしゃって結構驚きます。世代によっては十二支が既に身近なものではないのでしょうね。因みに家族歴をうかがうのは背景を知るための情報収集という意味だけではなく、家族間のコミュニケーションの有無や質、世代間の歴史、その人の資源はどういったものか、などの探求の端緒となり得るからです。

さて、お休みに観たかった映画、是枝裕和監督の『真実』(2019)を観てきました。普遍的なテーマである母娘関係を扱った映画というよりも、大女優の母と脚本家の娘の関係を描いたフランス人の映画、という印象を持ちました。母役カトリーヌ・ドヌーヴの礼賛映画のようでもありました。こんな手段を選ばない野心的な母は困りものですが、実際、貫禄があって優雅で美しかった。年齢と貫禄と美が共存するところが、日本人女性には見られないところですよね。ドヌーヴが飼い犬と中華料理屋に入って一人食事をするシーンがありますが、そこでアジア系の高齢女性が家族に祝われながら食事をしている様子が対比的に描かれています。

ドヌーヴは「これはフランス映画ではない」と言っていました。仮にフランス人監督が来日して日本の俳優陣を使って映画を撮っても、それが日本映画だとは恐らく言えないように『真実』がフランス映画でないことは確かですが、かといって日本映画でもない不思議な作品でした。何故ならこんな日本人は恐らくいないでしょう。

登場人物たちは、なんと「個」が確立されているのでしょうか!そうでなければ冗談でも母娘間でセクシャルなきわどい話はできないし、家族や身内間で露骨な嫌味を言われたら関係性に微妙なヒビが入って距離を置きそうなのが日本社会ですが、逃げないでしっかりと言葉で向き合う。母も娘も母のパートナーも娘婿も秘書もしかり。そこからまた新たな関係性が生まれてくる。

フランス映画でも日本映画でもないとしても、このコミュニケーションはなかなかに面白いものだなと思いました。まだ未見の方はどうぞご覧くださいね。

 


仕事納め

2019年12月29日

今年も御蔭様で仕事納めの日を穏やかに迎えることができました。一年間どうもありがとうございました。

年末年始のお休みは家事や片付けをしながら静かに今年を振り返り、また新年の計画をゆるやかに立てようかなと思っています。

きっと東京は7月のオリンピックに向けてお祭りムードで盛り上がっていくのでしょうが、街の一隅には冷めた場所があってもいいのではないか、社会の喧騒から離れた落ち着いた相談室でありたいと思います。実際のところ、街の空気や公共交通機関等がどうなるのか想像もつきませんね…。

新年は1月4日からのスタートになります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

sunrise

 

 

 

 

 

 


Who am I?

2019年12月15日

2019年もあと半月になりました。
今年の振り返りや来年度の目標などそろそろ取り組もうかなと思っていましたが…。

読み始めた本で面白いものがあったのでここにご紹介します。それは、磯野真穂著『ダイエット幻想 やせること、愛されること』(2019、ちくまプリマ―新書)、です。著者は文化人類学、医療人類学の学者です。文化人類学の視点を盛り込みながら、私たちの価値観がいかに自分が属する社会から取り込まれたものであるかを教えてくれています。その取り込みは恐ろしいくらいのパワーがあるので、目が開かれますよ。

日本社会が、いかに「痩せていることを良し」とする社会なのか。また容貌の「いけているか、いけていないか」を気にする社会なのか。通勤電車の広告は、エステやジム、化粧品の類がなんと多いことか。

女性向けに書かれた本ですが、今は男性も承認欲求の強い人が多いので、承認欲求をキーワードに男性の方々も読んでみることをお薦めします。

読んだらお分かりいただけるかと思いますが、2020年は、「女の子」ではなく「大人の女の人」が日本の社会に着実に増えていくことを切に願っています。

Who am I ?


本格的に寒くなってきました

2019年11月23日

昨日から冷たい雨が続きます。御湿りにはちょうどいいようですが寒くて参りますね。今日は面接時間の合間を縫って、クリスマスツリーを飾っていました。一種の作業療法ということでワクワクします。

さて、明日24日から30日(土)までお休みになります。御不便をおかけしますが、御連絡のある方は12月1日(日)よりお願い申し上げます。


母と息子

2019年11月15日

最近の新聞記事に次のようなものがありました。

イギリスのケンブリッジ大学が、「夫婦関係がよくない妻(母親)は、男の赤ちゃんに多く話す傾向がある」ということを調査研究で明らかにし、家族心理学のジャーナルに発表したとありました。女の赤ちゃんに対してはそのような傾向は見られず、一方、夫(父親)の場合は、夫婦関係の良し悪しは赤ちゃんとの会話量に関係はなく、そもそも妻より会話量が少ない、とのことでした。

本来、夫との間で満たされるべきものを、夫と同性の息子への会話で満たすという補償行為は、当然のことを言っているようにも思うのですが、この研究のポイントは「母親の男女の赤ちゃんに対する態度の差」と、夫婦の行動の違いというところでしょうか…。

子どもが成長してきて言葉を話せるようになると性別は関係なくなるように思うのですが、実際のところはどうなのでしょうね。母親が夫や夫側の親族の不満や愚痴を子どもたちにしょっちゅう話す、というのは日々とてもよく聞く話です。同性の女の子にばかり愚痴を話すものだという風に以前は理解していましたが、どうも男の子たちもその役割を担わされているようです。

子どもを愚痴の相手や手っ取り早いカウンセラーにするのはよくありませんが、母親も話す相手が身近にいなくて寂しいのでしょうね。

これは余談ですが、私はいつも下のピカソの絵『聖母子像』を観ると、背筋が少しぞっとします。お母さんの満足そうな表情なのに対し、赤ちゃんはちょっと寂しそうというか、凍ったようというか、母に取り込まれている印象がするのです。

『Mother & Child 』Pablo Piccaso

 

 

 

 

 


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